『旧校舎の鏡』として七不思議になったのは80年ほど前。そこから噂が広まりレネゲイドビーイングとして存在するようになるが、しばらくは鏡の中を蠢く影でしかなかった。
30年ほど前、病弱故に家の取り決めが厳しく放課後の数時間しか自由を得られなかった『少女』が人の目を盗んで旧校舎に出入りするようになり、影たちを発見。最初は不気味がったが徐々に話し相手として扱うようになり、その過程で影も会話に少しずつ反応できるようになっていった。
影のうち一つが『少女』のことをもっと知りたい、話してみたいと曖昧な意識の中考えていたところ、レネゲイドの拡散事件が発生。それに伴い急速に自我を獲得、覚醒に成功した。

しかし同時に『少女』が病弱であったこと、2年生の冬に向かうにつれて旧校舎を訪れる頻度が減っていったこと、「死にたくない、まだ生きていたい」と零していた言葉の意味に気付き、彼女が春を迎えられずもうこの世にはいないことを知る。
目的を失いそのまま存在し続けていたが、1年前の面影島事件により実体を持ち動けるようになり、ふらふらと旧校舎をさまよっているうちに窓から見えた桜に目を奪われた。『少女』の欲しがっていたものを理解し、彼女に与えられなかったことを悔しく思った。
現在は『少女』の生きた世界を知り、彼女の欲しかった自由を体感しようと色々なところを歩き回っている。


また、『少女』に会うことを完全に諦めたわけではない。
噂から生まれた鏡の中の影が50年程で動けるようになるのだから、死んだ人間も100年すれば会えるかもしれない。それが叶ったら、今度こそたくさん話をしよう。
密かにそう思っている。




ざっくり年表
80年前→生徒の見間違いにより「旧校舎の鏡」として七不思議になる。この時はまだただの鏡。
50年前→肝試しに来る生徒が増え、レネゲイドビーイングとして存在するようになる。力を少し持つが、鏡の中に影を見せる程度しかできない。
30年前→ある女生徒が旧校舎に入り浸るようになる。会話に対して多少の反応ができるようになるが、意識は曖昧ではっきりとした自我はない。
20年前→レネゲイドの拡散も手伝い完全に覚醒。自身の状況、彼女の言っていたことの意味を知る。まだ旧校舎から動けない。
1年前→面影島事件により動けるようになる。少女の形を取り旧校舎の外へ。