少し抜けているところはあったが優しい父と母のもとに生まれ、少しドジな可愛い弟がいた。彼女の幼少期は幸せそのものだったと言ってもいいだろう。だがその幸せは続かなかった。

彼女がボスを務めるセルは孤児院を隠れ蓑にしていた。所属するものは他のセルで使えないと判断され処分されかけたチルドレンやUGNとFHの抗争に巻き込まれ家族を失った者、人間初心者のレネゲイドビーイングなどが所属していた。所属している者に統一感は一切ないが皆彼女を慕っており家族のような関係であった。基本的に平和主義（よく言えば）なセルでUGNからの警戒度はそこまで高くなかった（個別に一部警戒されていた者はいたが、セルを知る者からは｜彼女がどうにか躾けるだろうと放置気味《他の任務を優先されがち》であった）。FHの者からは落ちこぼれのいくところというイメージをもたれていた。

彼女は平穏な生活を望んでいた。彼女はいくら力があったところでそれが叶わぬことだと知っていた。レネゲイドの力もただの個性の一つでしかない。そんな世界を望んでいた。