ルーツ：クトゥルフ
人形のように整った容姿に白い長髪、そして金の眼をした、薄いドレスのような服を纏うことの多い小柄な女性。
…ではあるのだが衆目にその姿を触れさせることは少なく、基本的に人目に付く時は、
鴻央会系の暴力団に時折出入りしている、ローブにフードを深く被ったやや怪しい人影としてである。
性格は穏やかで、時々他者をからかうことはあるものの、基本的には母性のヒト。
とは言え邪神因子の保持者故か、有事には背中から触腕を生やし、相手を倒して行くのだが…。

　
生まれは格式高い名家であり、幼少時にはもちろん相応の教育を施されていた。
厳しく己を律し、周囲を立て、静かに控える。そして他の名家の子息へと嫁ぎ家を盛り立てる…
そうした目的の下に行われていた教育はしかし、彼女がレネゲイドウイルスに感染したことで崩壊する。
邪神因子に侵されても、己を律し暴走の片鱗すら見せなかった遊由が、
その時には詳細不明であった"ソレ"をなんとか両親に伝えると、一族は早々に彼女の存在を切って捨てたのだ。
もちろん少女であった遊由は絶望したし、他に生きる道を知らなかったため、死と言う方法を選ぶ…
…選んだ、はずなのだが。なんの因果か、死なずに、死ねずに残ってしまった。
そうして彷徨っていた彼女は、鴻央会に拾われる。鴻央会としても鉄砲玉としていいと拾ったのだろう。

それから…既に十五年を越え、過去の苗字を捨て自分で密島とつけ、遊由は未だに生きている。
拾われて少ししてからは、鉄砲玉として動く以外に、鴻央会系相手に安価な水商売も始めた。
そうして日々過ごす中で、老化しない・成長しない…そして他にもある己の特性に気付いてからは、
それを鴻央会へと何一つ隠すことなく伝え、できることを増やしていった。

"どんなに荒れてる者でも狂いかけている者でも一晩部屋を共にすれば必ず落ち着いて出て来る"
鴻央会の情婦 兼 メンタルヘルスケアラー 兼 体のいい鉄砲玉。役立つが、替えの利く消耗品。
それが鴻央会での遊由の評価であり、遊由自身、それでいい…それ が いいと思っている。
どのような形であれ、必要とされることは嬉しいし、
有事の際にはいつヒトの枠から外れるとも知れない自分が、知り合った暴力団員の犠牲を減らす役を担えるのだから。
鴻央会内にロ○コンが増えている気がする…？　知りませんね…。

鴻央会全体の情婦として(自主的に)活動する遊由は、杉崎組の組長のことも知っている。
呼び出しを受け、夜の仕事かとも思っていたが…今回はそうではないようで。

そしてギルド絡みと聞けばそれは、確かに普通の構成員に任せる案件ではない。
邪神因子について多少なりと理解してしまい、ヒトから外れかけている自分が受けるべきだと…
それに何より、拾ってもらった鴻央会系組織からの依頼。断る理由はどこにもない。
そう遊由は判断した。