容姿・経歴・その他メモ

崑崙山における『求道』の手段は数多ある。
一つ、純粋に武技、エフェクトの鍛錬。
二つ、より強大な武具、妖刀魔剣の類の入手。
この二つこそが、崑崙山における『王道』と評せるものであろう。

伊美風カシリは、三つ目の道を選んだ『少数派』の一人である。
技を鍛えるのではない――その才が無いが故に。
武具を求めるのではない――資質を持たないが故に。

特別な、才能があったわけではない、物語と呼ぶような経歴があるわけでもない。
ありきたりに不幸な人生を歩み、オーヴァードに覚醒し、FHに拾われ、ノヴァリスに投げ捨てられただけの、生徒である。
当然、際立った、天に愛される才を持たない崑崙山のミソッカスであった伊美風は、自らの才能に対して早々に見切りを付け、『自己改造』に全てを賭すことにしたのだ。
とはいえど、十字冠がある以上、永続的かつ不可逆な改造は限りなく困難であるし、崑崙山生徒である以上、技術的な難事も伴う。
そこでカシリは、崑崙山のカリキュラムに存在した『丹術』――仙丹（ドラッグ）を用いた自己改造術で、自らの壁を打破しようとしたのである。　

崑崙に生えるノヴァリスに満ちる植物。
ブラックマーケットで仕入れられる危険薬剤。
そこかしこに残るFHの薬物的遺産。
それらを用い、調合し――カシリは、自らに獣の俊敏と膂力を与える仙丹の開発に成功し――さらなる求道を――より強力な仙丹の開発に勤しんでいる。

その有り様は、崑崙の求道のなかでは異端であり――道を外れた外丹術使いとして、外道丹の忌み名で呼ばれるようになり、カシリはそれを一つの誇りとして受け取っている。

戦闘スタイルは、ブラックマーケットから仕入れた材料で独自調合したドラッグを服用しての自己強化。
防御も回避も行えない、『獣』に落ちてなお失われない、地道な反復練習で染み付いた拳法を持って、敵を殲滅する。
切り札は』は、反動が極大のため三度しか使えぬが――その三度で倒れなかった相手は、いない。

致命的な欠点として、薬剤の『原料』を調達するためにどうしても出費が嵩むことであり、方方への借金、そして他学区への傭兵業務で辛うじて強さを保っている。

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