容姿・経歴・その他メモ

人物
自称、愛と平和の戦士。そして全てのレディの味方。底抜けに明るく馬鹿で、そして惚れっぽい。チルドレンとしては珍しく、楽観的で人懐っこい性格をしている。UGNチルドレンとは言わばUGNの尖兵であり、秩序の駒となることを求められる側の者たちだ。諦観、反発、侮蔑………そうした年齢には不釣り合いの毒々しい感情を抱えていることも少ない。華奈江にもそうした感情が無いわけではないが、彼は自ら駒となる事を選んだ側の人間である。白痴故に迷わず、浅慮故に惑わされない。ある意味ではチルドレン向きと言えなくもないかもしれない適性を有しているのだ。
嫌いなものは勉強で、好きなものは女の子。女性と見れば声をかけに行き、美人な女性と見ればお近づきになろうとする。男性なら普通に友達になりに行く。特技は裁縫。



容姿
横目で見れば長髪の少女のように見える風貌をしている。長い睫毛が際立つ吊り目に淡雪のように透き通った白い肌、男性らしい体格を隠すコートと女性らしく見える要素はいくつかあるのだが、やはり最大の要因はその長い髪だろう。腰のあたりまで伸ばされ、動くたびに軽やかに揺れる薄墨色のそれは母親譲りの繊細な髪質らしい。両親と死別した後はどうにも切る気になれず伸ばし続けた結果、今の華奈江は彼自身たまに鏡に映った自分を見てギョッとするほどに母親に似ているらしい。見た目だけなら可憐な少女と言って差し支えないのだが、中身は一挙一動がやかましい馬鹿な男子高校生なので黙っていれば美人という言葉がこれほど似合う者もそういない。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿はラフレシアである。
普段からやたらと布や紐の多いコートを着ている。彼が手ずから作ったもので、曰く「シューターズジャケットのシューターズ抜き」らしい。要するに普通の、かっこいいだけの衣服である。ケープのような布はぶっちゃけ邪魔だし、何使うのかわからないベルトはよくドアに挟むし、10以上のポケットはそんなに使わない上にたまに何かを入れたまま洗濯に出して悲惨なことになる。そんな衣服とは少し違った趣きのある帽子は父の形見である。何かの記念品の野球帽らしいが、詳しくは知らない。華奈江はサッカー派だった。
日頃から眼鏡をかけて生活しているものの、華奈江の視力は特に悪くない。寧ろその逆、彼の視覚はエンジェルハィロゥの感覚能力によって過剰に強化されており、ただ日常生活を送るだけで大きな負担がかかるのだ。眼鏡はそうした負担を軽減する為のものであり、普段は人並みの視力へと補正している。補正を切るだけで超人の視覚へと戻るだけでなく、逆に極限まで視覚を高めることもできるが多大な負担がかかってしまうので有事の際のみとなる。



経歴
彼が決断を下したのは四年前。そして転機となったのは、六年前の出来事だった。彼は至って平凡な家庭に生まれ、普通に両親から愛されて育った。彼はどこにでもいる少年で、何も知らない無辜であることを許されていた。しかしそれは、長くは続かなかった。
彼を襲った悲劇も、世界の裏側を知る者達に言わせれば「平凡で、ありふれた出来事」なのだろう。ある日家族と共に出かけた先でFHの作戦に巻き込まれ、家族は皆命を落とす。ただ一人、華奈江だけがオーヴァードへ覚醒したことで一命を取り留めることになった。幸いなことに作戦が行われたのはUGN支部の付近であり、エージェントも多く常駐していた。故にオーヴァードになった華奈江にも協力要請がされることはなく、「安全になるまで我々に任せて待機していてくれ」と言われたのが最後だった。彼の預かり知らないところで事態は収束し、両親を失った彼を引き取ってくれる親戚もすぐに現れた。こうして華奈江は、日常の裏側に触れながら平穏な日々に帰ることを許されたのだ。
しかし華奈江は、何もない日々を思うように享受することができなかった。あの時、無理を言ってでも自分も戦っていれば………そんな事をしても何の役にも立たなかっただろうけれど、それでも考えずにはいられない。思い出されるのは自分を守ったヒーロー達の顔。「もう安全だ」と報告しにきてくれたエージェントの、疲労を隠そうと浮かべた笑顔が、頭の奥でチラついていた。世界は今日も平和に保たれていて、そこに自分の出る幕はない。なら………ヒーローの平穏は、誰が守ってくれるのだろう。
そこまで考えて、華奈江は悟った。自分は何も出来なかったことを後悔しているのではない。何かができたはずなのに、何もしなかった事を後悔しているのだ。
彼は自分を助けてくれたヒーローたちの為に、愚かにも世界の裏側まで含めた全ての人々の平穏を守る事を志して自らUGNチルドレンとなった。つまるところ彼は底抜けに明るく馬鹿で惚れっぽく、そしてこの上なく傲慢だったのだ。
チルドレンとしての訓練を終え、与えられたコードネームは｜真向勝負《コーリングステーション》。ポーカーにおいて、自分の手札の強さに関係なく非常に頻繁にコールを行うプレイヤーを揶揄する呼び方である。自身の手札の強さに応じてコールかドロップを選ぶのがポーカーの肝であり、その趣旨から外れた戦略は余り賢いとはいえない。恐らく、この名には悪意ある嘲笑の意図も含まれているのだろう。彼はこの名前を挑戦と受け取った。求めることすら忘れた人々に代わって彼は｜勝負《コール》する。確かに華奈江には誰が相手であろうと圧倒できるような力量もないし、この世界についての知見も何もない。それでもコールを挑む権利だけは、誰からも取り上げられないのだ。
まだ、ゲームは始まったばかり。

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