10年ほど前、日本の都心部で生まれる。5羽兄弟の末っ子だった。
元気に育ったものの、風切羽が未発達のまま季節が過ぎ、飛行技術を会得できないまま秋を迎えてしまう。
次々と南国へ飛び立つ兄弟や仲間たちになんとかついていこうと必死に翼を羽ばたかせたが、ついぞ親鳥も旅立っていった。
はじめての孤独。感じたことのない冷たさを羽毛に感じ、鳥なのに涙が出た。
アスファルトの上、唯一の取り柄だった大きな鳴き声で喚いていると、道ゆく一人の女性が足を止めた。
彼女がイブだった。
足元で必死に泣いているツバメを異様に思ったのか、彼女は跪いて手の上に乗せた。
拾われてもなかなか飛び立とうとしない鳥に心配してくれた。
一通り様子を見た彼女は、自身の住処に連れて帰ってくれた。
彼女の家で温められ、食べ物を与えてもらい、歌も聴いてぬくぬくと育てられた。
やがて飛ぶことを覚えても、彼女の元を離れようとはしなかった。

1人と1羽は共に過ごし始めた。
名前はふうちょう座の恒星で最も明るい「ふうちょう座α星（α Aps/アルファ アプス）」から「アルア」と名付けられる。
過ごしていくうちに、ツバメは彼女のことがどんどんと好きになった。
母のように優しいところも、自由奔放なところも、美しい声も紡ぐ音も、彼女の好きなものも全部好きだった。
だから自分も困っている人には優しくしようとしたし、季節も関係なく気ままに空を飛び回り、鸚鵡のように覚えた歌を歌った。
冬が過ぎ、春と共に渡り鳥がきた時、家族らしき姿は1羽も見えなかった。
その理由を知るのは数年後になる。
再び鳥たちが旅立つ秋になると、前年とは違う憧憬の感情が湧き上がった。
『自分も同じように旅をしてみたい』『叶うのであればイブと共に』
その願いが彼女に伝わったのか、それとも彼女も旅をしたいと思い立ったのか。
1人と1羽での旅が緩やかに始まった。
暑い国も寒い土地も渡り歩き、行く先々の夜空の下で彼女は歌を歌う。その姿が一番好きだった。
もっとイブの好きなものを好きになりたいと思ったし、もっと彼女と近しい存在になりたいと願った。

旅に出て、一段落すれば家に帰る。そんな生活を繰り返して5年ほど経った頃のある日。
ツバメは人間の姿を手に入れた。
彼女と長く一緒にいたのも要因として挙げられるだろうが、レネゲイドの知識なんてない。
純粋な願いが覚醒を引き起こしたのだった。
人の姿を手に入れた少年は今まで以上にイブとの交流を深めていった。
同じ食べ物を食べられるようになり、同じ動きで体を使えるようになり、同じ言葉を使って話すこともできた。
それのなんと喜ばしかったことか。あっという間に人間社会の様々な物事を覚えた。
人の姿を取れるようになっても、旅への好奇心は維持されたままだったのでイブとの旅は続いた。
そこで、ツバメの頃からずっと抱いていた疑問の答えを求めるようになる。
「仲間たちは今、どうしているんだろう」
習った文字や道具で生態を調べてみた。
すると、仲間たちの生理的寿命は17年ほどだが、実際の寿命は2年もなく、
天敵の存在や気候などあらゆるトラブルにより命を落とすケースが一般的であることが分かる。
もう生存は絶望的だという事実に打ちひしがれた。
遠い遠い記憶の中の、共に過ごした両親や兄弟たちとは二度と会えないのか。
悲しい気持ちでイブにそのことを話した。
彼女は少年の悲しみを受け止めながら、優しく語りかける。
「命を終えた生命は星になる」という話だ。彼女はそんな一説もあると少年に説いた。
その話を信じるのであれば、仲間たちは彼女と自分が愛する星になって、
自分たちと一緒に旅をしてくれる存在となっているのかもしれない。
物理的な距離はとても遠くなってしまったけど、どこかに在るのだと想像してみれば徐々に元気が湧いてきた。
「それに、可能性は0じゃない。きっと生きているかもしれない」
笑顔で語るイブに対し、愛情や尊敬の気持ちがより一層強くなった。
旅をするのがもっともっと楽しいと感じるようになる。

人間の姿を手に入れて四度の四季が巡った頃。
それは突然に自分の幸せな日常を奪った。
あっという間の出来事だった。イブは武装集団に手を掛けられた。
幾度も助けられた彼女に対して、何も返せないまま、何もできないままに失った。
彼女も星になったのだと考えたが、全然納得できなかった。
まだ行っていないところもある。約束だって果たしていない。
それなのに自分と一緒にいないのはおかしい。遠くに行くなんて間違ってる。
あんな別れ方はありえない。現実じゃない…など。一切を受け入れられなかった。
そうして彼女の死を否定し続けて1年が経った時。
もしかしたら、彼女は先に約束の場所に向かったのかもしれない。
世界で一番空に近い場所 プラネット・ラダー。
縋るような想いを抱き、その地へと飛び出したのだった。
（あとはPC①の後半部分〜本編へつづく）

一人称

ボク

二人称

キミ

朗らかで素直な性格。表情はとても豊かで、感受性も富んでいる。
生まれてから10年ほど経っているが、人間としての生活は5年しか経験していないため、世間に疎い部分もある。
はちゃめちゃに正直者で、嘘がつけない。
知的好奇心がとても旺盛。相手のことを知って、何をしたら喜ぶのか考えるのが好き。
自覚があるタイプの自己犠牲を厭わないやつ。
イブがいた頃にかなり矯正はされたが、癖ですぐYESと言う。
好きな食べ物はカニなどの甲殻類や海鮮。
ヒューマンズネイバーを取得してからは虫は食べられなくなった。贅沢な奴め。
イブが歌っていた歌を歌うのが好きだが、それほど歌が上手いわけではない。
星については強い思い入れがある。

腕を輝く翼に変化させ、おもいきり羽ばたいて飛ばした金色の羽で相手を攻撃する。
侵蝕が上がればたくさんの金色の羽が飛ぶようになったり、紅色や藍色に染まる。
キュマイラ入ってないのにキュマイラみてえだな…。

『渡り』までに飛行技術を会得できず、取り残されたツバメのレネゲイドビーイング。
ギャン泣きしてたらイブが拾い、あっためてもらったことで延命した。
幼心ゆえ、次第に自身がツバメではなくイブと同じオーヴァードだと思い込むようになりついに覚醒した。
たくさんの人にイブの歌が届くと良いな〜と思っている。　
攻撃のレパートリーは『幸福な王子』を参考にしています。
（王子像やツバメの恩恵は場合によって罪に問われる（不幸になる）ことも考えられるよねという皮肉たらしい攻撃手段。
　PC自身にはそんな意図はない。）