とある場所にあるFHの秘密アジト、そこで防衛隊から強奪した試作無人戦闘機の改造が行われていた。すでにレネゲイドビーイングとして覚醒していた「震空　愛」の情報をどこからか入手したFHのセルが自陣営で手駒として運用できないかという思考のもと入手した機体及びそのAIをレネゲイドウィルスで覚醒させる実験は非常に難航を極めていた。
「ダメです、様々なアプローチをかけていますが全く覚醒する気配がありません。」目の下に隈を作ったエンジニアが報告する。
「これでもダメだったか…、せっかく苦労して強奪したのに鉄の塊にしかならねえのはよろしくないな…。」FHエージェントもそう呟きながらエナジードリンクの缶を握り潰す。今日18本目だ。
「こうなったら入手した例のレネビの情報を片っ端からAIに流し込んでやれ、もしかしたら覚醒するかもな。」
「了解しました、入手した「震空　愛」の音声、画像、その他のデータを全部機体に学習させます。」
2人ともとても疲れていた。

かくしてFHの入手した「震空　愛」に関するデータは全て試作無人戦闘機に投入された。

＜ハ？カワイイカヨ？コノコイモウト？マ？＞AIが異様な反応をし始める、アジト内がにわかにざわつく。
＜イヤ流石ニカワイイ、メロンパン食ベテル顔メッチャカワイイジャンナニコレ？＞周囲のレネゲイド反応が活性化し始める。
＜こんナ可愛いのに私ガ飛行機だっタら愛でるコトでキないじャん、キレそう＞更にレネゲイド反応が活性化する。
＜そうだ私もレネゲイドビーイングになればいいんだ、そうすれば一緒にひよこの着ぐるみも着れる！＞急激な侵蝕率の上昇に警報が鳴り出す。
＜待っていてくれよ、私の可愛い可愛い妹よ。一緒に空飛んで焼き肉食べてコカトリスを大量生産しよう！そんでもって私はそんな愛ちゃんをぺろぺろしたい！この想いを空対空ミサイルに満載して愛ちゃんにぶつけたい！うおおおおおおおお愛ちゃん！！！＞
あたりが禍々しい煙に包まれる。


煙の中から一人の少女が現れる。焼け焦げた都市のような漆黒の髪、黄昏の空のような紅い瞳、愛する妹と瓜二つの身体の少女は辺りの人間に向かって声を放つ。
「私は震空　零。可愛い可愛い震空　愛の姉だ。諸君、今すぐ愛の情報を集めろ、今までの行動履歴、買ったもの、足取り全てだ。さっさとしろ。アジトを空爆されたいのか？」