今からおよそ十年前。
とあるテロ組織でクローン培養が行われていた。
ただその組織はオーヴァードが所属していたとはいえ、誰も然程の力はなく、また組織単独でクローン培養が出来るような資金も知識も資材搬入のツテもなかったはずという裏付けが取れている。
よってこれにはFHの関与が疑われているが、証拠のほとんどが破棄されていたため今もって全貌は分かっていない。

UGNが組織を摘発・施設を発見した時点で生存していたクローンは九番培養槽に浮かんでいた一体きり。
保護されたそれはすでにオーヴァードとして覚醒しており、培養中の促成学習でか高い戦闘能力をも持ち合わせいた。日常に戻すには有用すぎた彼女はチルドレンとして登録され、UGNに籍を置いている。

“魔眼”をバレーのスパイクめいた所作で撃ち出す。

彼女の“魔眼”は非実体超質量弾とでも言うべき、ただそこに在るだけで空間を捻じ曲げる代物。
ハヌマーンシンドロームにより特定波長の振動を加えることで指向性を与え、破壊する対象を選択できるようにしたのが現在の形となっている。
その膨大な｜質量《エネルギー》のせいなのか、バロールシンドローム保持者に多く見られる空間操作系エフェクトは苦手としている。

なお何故バレーのスパイクなのかというと、訓練施設の娯楽室のテレビで流れていた超次元バレーアニメ『｜排球王子《ハイキュープリンス》GO！』の影響。
大仰なフリのためスパイク動作が異能行使に必須……に見えるがフェイク。魔眼に振動さえ与えれば撃ち出せるため、必要な時なら無動作で撃ち出すことも可能。

特定の支部には所属せず、戦力が足りない支部の要請を受けて全国に派遣されるフリーエージェント的扱いのチルドレン。
この手のチルドレンにしては珍しく誰ともペアを組まずソロで派遣され、エフェクトに依らない人当たりの良さで情報を収集。単体から広域まで幅広く対応できる破壊力を武器にどんな任務にも自在に対応できる。そのため全国の支部に引っ張りだこで、酷い時にはひとつの学校に一か月も在籍しないこともある。
なお意外にも成績は高水準。おそらくは要領がいいタイプ。ぴったりな制服が私立小学校のものというのが数少ない悩み。