いつも、人より後ろを歩いていた。

みんな、私を置いていく。

そんな私でも、人より前を歩いたことがある。

楽しかった。友人と同じ速さで上達できたから。

嬉しかった。友人よりも上手になっていくことが。

でも、友人はそうではなかったみたい。

気がついたら、腕が動かなかった。

治っても、部活を続ける事は難しいと言われた。

やっと、私にも出来ることが見つかったのに。

やっと、お母さんに褒められたのに。

また、私にも出来ること、見つけなきゃ。

また、楽しいことを見つけなきゃ。

でも、見つけたら、また嫌われるかな。

それなら、なくてもいいか。

私は何も出来ない子。

人より頑張って、ついていくことしか出来ない子。

取り柄の無い出来損ない。

それでもどうか、捨てないで。

どうか私を、嫌わないで。

ネガティブにポジティブ。
明るいいい子だよ。
勉強は苦手。お兄ちゃんに教えてもらうよ。
身長が高いゆえに大人っぽく思われるけど、中身は幼女寄りだよ。
たまにぼーっとして話を聞いてないことがあるよ。
人の顔色見て周りに合わせるのが得意だよ。
でも、周りが何を考えてるかはわからないよ。
別に、闇深くないよ。ほんとだよ。

小さい時から勉強が苦手だった。
運動は勉強ほど苦手ではないが人並みか少し下くらい。
中学生になってから、友人に誘われてバレー部に入部。
才能があったようで、三年になると部長になった。

友人は「今まで下だと思っていた楓の下につくことへの抵抗感」「勉強のストレス」etcで衝動的でありながらも害すことを目的とし、楓にわざとぶつかり階段から落としてしまう。
結果、楓は右腕を痛めてしまいバレーができないようになる。
一ヵ月ほど入院したが、その間、友人が勉強を教えてくれたため学力に変わりはなかった。
ちなみに友人は「自分が突き落とした」と自白するが、元々優等生でそんなことをする子に思われていなかったこと、楓が「ぶつかりはしたけど突き落とされたわけじゃない」と主張したことで特にお咎め無しだった。

退院後は父親から「来年から転勤になったから、ここの高校に行くのはどうだろうか」と勧められて、今の高校へ。
受験勉強は友人がいっぱい教えてくれた。
楓自身は、友人が故意に落としたことに本当に気づいていない。
ただ、多少他の人より当たりが強いから「他の人より話が通じにくいから、ちょっと嫌われてるんだろうな。私みたいな馬鹿が部長なのも嫌なんだろうな。」とは思ってる。
「友人ちゃんのお母さん、ちょっと厳しいもんね。勉強夜遅くまで頑張ってて体調良くなかったんだろうな。そういうのってきついよね。私に当たることで気が晴れるならそれでいいよ。」

多分、お兄ちゃんからは友人みたいな「ちょっと嫌なんだろうな」っていうのを感じないから全力で懐いてる。
「先輩って、私の昔の友人より優しいんですね！こんなに本当にお兄ちゃんみたいな人、いると思いませんでした！」
↑みたいなことを多分過去に言ってる。
そこからちょいちょいお兄ちゃん呼びをし始めるようになった。