“虚構存在”八咫 心
プレイヤー:地中海インパクト
私のことなんて、気にしないでください・・・。
すみません・・・・・・。
・・・ごめんなさい・・・・・・・・・。
- 年齢
- 16
- 性別
- 女
- 星座
- 不明
- 身長
- 151
- 体重
- 35
- 血液型
- O型
- ワークス
- アトランティス
- カヴァー
- ブリード
- クロスブリード
- シンドローム
- キュマイラ
- ブラム=ストーカー
- HP最大値
- 31
- 常備化ポイント
- 2
- 財産ポイント
- 2
- 行動値
- 5
- 戦闘移動
- 10
- 全力移動
- 20
経験点
- 消費
- +60
- 未使用
- 0
ライフパス
| 出自 | 父は大型FHセルリーダーで母はそのセルの下っ端。結婚してるとかではない。 | |
|---|---|---|
| 犯罪者の子 | ||
| 経験 | 何度かあった | |
| 大きな転機 | ||
| 邂逅 | 何人かいた | |
| いいひと | ||
| 覚醒 | 侵蝕値 | |
| 生誕 | 17 | |
| 衝動 | 侵蝕値 | |
| 破壊 | 16 | |
| 侵蝕率基本値 | 33 | |
能力値
| 肉体 | 5 | 感覚 | 2 | 精神 | 1 | 社会 | 1 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シンドローム | 3+1 | シンドローム | 0+2 | シンドローム | 0+1 | シンドローム | 1+0 |
| ワークス | 1 | ワークス | ワークス | ワークス | |||
| 成長 | 成長 | 成長 | 成長 | ||||
| その他修正 | その他修正 | その他修正 | その他修正 | ||||
| 白兵 | 7 | 射撃 | RC | 交渉 | |||
| 回避 | 知覚 | 意志 | 調達 |
ロイス
| 関係 | 名前 | 感情(Posi/Nega) | 属性 | 状態 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| D | 亜純血”デミブリード” | ― | |||||
| D | 遺産継承者”レガシー” | ― | |||||
| D | 奇妙な隣人"ストレンジネイバー" | ― | |||||
| ― | |||||||
| ― | |||||||
| ― | |||||||
| ― | |||||||
エフェクト
| 種別 | 名称 | LV | タイミング | 技能 | 難易度 | 対象 | 射程 | 侵蝕値 | 制限 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| リザレクト | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 効果参照 | ― | |
| (Lv)D点HP回復、侵蝕値上昇 | |||||||||
| ワーディング | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | シーン | 視界 | 0 | ― | |
| 非オーヴァードをエキストラ化 | |||||||||
| 増腕 | 1 | メジャーアクション | 〈白兵〉 | 対決 | 単体 | 至近 | 2 | ピュア | |
| 腕が増える | |||||||||
| 渇きの主 | 5 | メジャーアクション | 〈白兵〉 | 対決 | 単体 | 至近 | 4 | ― | |
| 血を吸う | |||||||||
| 朱色の大斧 | 5 | メジャーアクション | 〈白兵〉 | 対決 | 単体 | 武器 | 4 | リミット | |
| 血を凄く吸う | |||||||||
| 鮮血の一撃 | 5 | メジャーアクション | 〈白兵〉 | 対決 | ― | 武器 | 2 | ― | |
| 血が出る | |||||||||
| コンセントレイト:ブラム=ストーカー | 2 | メジャーアクション | シンドローム | ― | ― | ― | 2 | ― | |
| ハンカチ | |||||||||
| 破壊の爪 | 1 | マイナーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 3 | ― | |
| 伸びる | |||||||||
| ハンティングスタイル | 1 | マイナーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 1 | ― | |
| 跳ぶ | |||||||||
| 完全獣化 | 3 | マイナーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 6 | ― | |
| ネクタイ | |||||||||
| 鋭敏感覚 | 1 | ||||||||
| すごくある | |||||||||
| 旅する魔獣 | 1 | ||||||||
| どこにでも行けちゃう | |||||||||
コンボ
赫灼抜刀
- 組み合わせ
- 《完全獣化1/破壊の爪1》[9]〔自身/至近〕 シーン中肉体判定+(LV+2)d/攻撃力+(LV+8)/G値+1
- タイミング
- マイナーアクション
- 技能
- 難易度
- 対象
- 射程
- 侵蝕値
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
玄裳跳躍
- 組み合わせ
- 《ハンティングスタイル1》[1]〔自身/至近〕 戦闘移動※離脱可
- タイミング
- マイナーアクション
- 技能
- 難易度
- 対象
- 射程
- 侵蝕値
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
赤い月
- 組み合わせ
- 《コンセントレイト:ブラム=ストーカー2/鮮血の一撃1/渇きの主5/朱色の大斧5》[12]〔単体/至近〕 HP2消費/ダメージを与えた時HP(LV*4)回復/装甲無視/ダメージを与えた時シーン中の攻撃力+LV*4
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対象
- 射程
- 侵蝕値
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 5+11
- 8
- 7
- 9
- 100%以上
- 5+14
- 7
- 7
- 10
- 160%以上
- 5+17
- 7
- 7
- 11
- 5+11
抜刀後の攻撃力
赫い月
- 組み合わせ
- 《コンセントレイト:ブラム=ストーカー2/鮮血の一撃1/渇きの主5》[8]〔単体/至近〕 HP2消費/ダメージを与えた時HP(LV*4)回復/装甲無視/ダメージを与えた時以降の攻撃力+LV*4
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対象
- 射程
- 侵蝕値
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 5+11
- 8
- 7
- 29
- 100%以上
- 5+14
- 7
- 7
- 34
- 160%以上
- 5+17
- 7
- 7
- 39
- 5+11
抜刀/朱色の大斧後の攻撃力
玄に沈むは赤い月
- 組み合わせ
- 《コンセントレイト:ブラム=ストーカー2/鮮血の一撃1/渇きの主5/朱色の大斧5/増腕1》[14]〔範囲(選択)/至近〕 HP2消費/ダメージを与えた時HP(LV*4)回復/装甲無視/ダメージを与えた時シーン中の攻撃力+LV*4
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対象
- 射程
- 侵蝕値
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 5+11
- 8
- 7
- 9
- 100%以上
- 5+14
- 7
- 7
- 10
- 160%以上
- 5+17
- 7
- 7
- 11
- 5+11
抜刀後の攻撃力
玆に沈むは赫い月
- 組み合わせ
- 《コンセントレイト:ブラム=ストーカー2/鮮血の一撃1/渇きの主5/増腕1》[14]〔範囲(選択)/至近〕 HP2消費/ダメージを与えた時HP(LV*4)回復/装甲無視
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- 白兵
- 難易度
- 対象
- 射程
- 侵蝕値
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%未満
- 5+11
- 8
- 7
- 29
- 100%以上
- 5+14
- 7
- 7
- 34
- 160%以上
- 5+17
- 7
- 7
- 39
- 5+11
抜刀/朱色の大斧後の攻撃力
経験点計算
| 能力値 | 技能 | エフェクト | アイテム | メモリー | 使用総計 | 未使用|
| 6
| 184
| 0
| 0
| 190
| 0/190
| |
|---|
侵蝕率効果表
現在侵蝕率:
容姿・経歴・その他メモ
- 一人称
- 私
- 二人称
- あなた
- HO2 灰堂
- フロストアッシュさん
- HO3 不動
- リーダー
キュマイラ、ブラム=ストーカーのクロスブリード。
アトランティスの戦闘要員。
根暗で内気で自虐的。
そんな性格なのであらゆる人間にいじめられて生きてきたがアトランティスの人たちは何故か優しめ。
その優しさにびくつきながら過ごしている。
何か裏があるはずだ・・・
雑草を育てるのが趣味。
戦闘スタイル
相手の死角から血の刀で切り裂く。
それ以外は特にやることはない。
人の目に触れることが嫌いな八咫の能力も、人目につかない様に洗練されていった。
キュマイラによるフィジカルの強さとブラムストーカーによる身体の繊細なコントロールにより、会得するのに数十年と要するであろう武術のあらゆる歩法を身につけている。
その上生まれてからずっと人の目を気にし続けていた八咫にとって、人の死角へ移動することはちょっと木陰に入るのと同じくらい容易なこと。
意識の外から心臓を貫くのに、刀の技術など必要ない。
服に隠れて刀身だけが袖からのぞくが実は爪。
戦闘中は肩から先は鴉の足となりその爪が刀のように伸びている。
肩甲骨あたりからは三本目の腕が生える。
この腕自体は他の腕より大きいという事以外は筋力などは同じ。
だが急な死角からの斬撃や、不自然な体勢での戦闘を可能としている。
生い立ち
生い立ちとしてはFHセルリーダーの子として生まれ、この世に生を受けた時からオーヴァード。
しかし能力も強くなく、また戦闘に不向きな性格から落ちこぼれとして、そのセル内で父を含む全員から奴隷の様な扱いを受け続けていた。
9歳になった頃にFH同士の抗争が勃発し、八咫の属するFHセルは壊滅する。
その時八咫側のFHセルリーダー、つまりは父を殺したのはなんやかんやあって八咫自身だった。
その時の抗争相手はFHセル"ネスト"であり、そのリーダーに拾われる。
ネストは犯罪組織に対してのみテロ行為を行うというセルで、リーダーは八咫に対しとても優しく接してくれる。
八咫はリーダーに対しひどく依存し、その恩に報いるべく色々頑張った。
結果オーヴァードとして力をつけ、名を上げていくうちにDロイスを二つ持つという特異体質であることが判明。
それを聞きつけた様々な研究機関に追われることとなり、数年の後にとうとうネストは全滅させられてしまう。
ネストの壊滅と八咫の拿捕を成したのはUGNの研究機関ゆりかもめ。
それからは毎日身体中をいじくりまわされ薬漬けにされ強い幻覚からの覚醒を短時間に高速で繰り返し脳に負担をかけ続けられたり治癒をしながら身体中を切り刻まれたりすり潰されたりを2年くらい繰り返され自我というものがほとんど崩壊しきった時、UGN内部のとある研究員の手によってその地獄から逃げ出すこととなった。
しかし帰る場所などどこにも無い八咫は何をするでも無く目的もなく様々な場所を彷徨い歩いていた。
しかし奥底に染み付いたネストとしての八咫は、街中に跋扈する小さな悪を、誰の目にも触れないまま殺しまわっていた。
UGNにジャームとして認定されるも目的も見えず目撃もされないので足取りが掴めないため2年フラフラしてた。
そんなおりアトランティスリーダーに見つかりなんかいい感じに受け入れてもらって自我の崩壊した八咫の新たな依存先がリーダーになりなんとか人間性をギリギリ復活させるようなイベントが起こる。
それから一年がたち、無闇に殺しちゃダメという教えもうけ、メンバーにも受け入れられつつある。
しかし根暗で内気で溜め込みやすいのは変わらず、さらに親を殺した時、オーヴァードの衝動を受け入れた時から溜まりに溜まったものを爆発させる癖ができているので目が離せない。
序章
私はこの世界に存在しない。
そう思うようになったのは物心がつき始めてからだった。
父はFHの大型セル“ドグマ”のリーダーで、傍若無人だがその強さとカリスマで周り
からはとても慕われていた。
父は常にセルメンバーの気に入った女性を何人も侍らせていた。
そのうちの一人が私の母。
父がメンバーを孕ませて子供を産ませるのはそのセルでは普通の事で、乱痴気騒ぎの
パーティの、余興の一環として私の命は産み落とされた。
父は強力なオーヴァードだ。でもレネゲイドウイルスの継承は確実に行われるもので
はないらしい。
オーヴァードが生まれるのは大体3人に1人だそうで、オーヴァードでなかった子はそ
の場で殺される。
オーヴァードだったとしてもその能力は未知数で、中でも私の出来は、すこぶる悪
かった。腕を増やす。できることといえば、これだけだった。
とはいえ、オーヴァードとして生まれることはできたから、その場で殺されるこ
とはなかった。
その場で殺されていた方が、幸運だったのかもしれないけど。
強いオーヴァードを産めた女性は、そのまま父のお気に入りとして、ドグマ内ですご
くいい地位に付ける。
だから弱いオーヴァードを産んだ母は皆に馬鹿にされ、乱暴されて、私が5つになる
ころには死んだ。
この世にある全ての悪口を、呪詛のように私に吐きながら死んだ。
母が死んでからは、ドグマ内での私の扱いのひどさは加速して、再生が追い付かなく
なるまで痛めつけられ、常に私はどこかの骨か、歯が折れていた。
それでもへらへらしながら言う事を聞いていれば、殺されるまでには至らなかった。
殺されたくなかったのだろうか。わからない。
ただ、母のひどい死に際を見て、死にたくないと本能ではそう思っていたのかもしれ
ない。
父は私を見なかった。少なくとも私に物心がついてからは一度も。
父の中ではすでに私は存在しなかったのだ。
しかしそれは、その時の私にとってとても楽なことでもあった。
青あざを作ってへらへら笑って従順にいう事を聞く私を見る目は、みな揃って無感情
だった。
何の価値もないものを見る目、感情を持つことさえ無駄だと思っているような目。
その視線がひとたび苛立を覚えると、ひどく殴られる。
私は、無感情で見られ続けるように、無価値であり続ける為に日々を生きていた。
私はいない。
私はこの世界に存在しない。
私はこんな世界に、存在なんかしていない。
序章 了
要約
FHセルドグマのリーダー、ブラムストーカーの父とそのセルのメンバー、キュマイラの母の子。
生まれてからオーヴァードで、キュマイラであることが早々に判明していたが、3本目の腕を生やす以外何もできなかった。
力の無い八咫は名ももらえず、愛のない幼少期を過ごした。
第一章
ドグマが攻撃を受けている。
こんな事は日常茶飯事、慣れたものだった。
血の匂い、悲鳴、硝煙の香り、人の肉が焼ける音。
ドグマというFHセルは、街を牛耳るマフィアのような組織。
権力者を脅し、逆らうものは殺し、我が物顔でその街を跋扈する。
強力なアンチワーディグを持ち、下手にUGNも手出しができない。
今までやってきたUGNは例外なく、返り討ちにされていた。
一般人を人質に、時にはUGNを罠に嵌め一般人とも戦わせた。
助けに来た人々に、化け物だと罵しられながら沈んでいくUGNを、私は何人も見てきた。
しかし今、目に映る地獄絵図は今までと少し違う。
足を捕まれる。
「お、おいカラス!俺を助けろ!」
ゴミを漁って生きるからカラス。いつしか呼ばれるようになった名前。
この名前で呼ぶのは、ドグマのメンバーしかありえない。
その男の視線に込められたものは恐怖。
下半身は炭化し再生も追いつかず、自我が崩壊していく中でたまたま近くにいた私に助けを求めただけ。
正常な思考ならば、私に助けを求めたところで意味がないことは判る筈。
ただの命の生理現象。
私はこの状況に恐怖していた。
もしかしたら死んでしまうかもしれない。
そう思うと、この男に何と言われようと竦んで動くことができなかった。
「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい何もできなくてごめんなさい役立たずでごめんなさいごめんなさい・・・」
そう言い続けて震えている。
それを見て男の恐怖は苛立ち、怒りへと変わっていく。
「てめぇこのカスが!どこまでつかえねぇゴミクズ野郎なんだ!いいから俺を引っ張っ」
ボシュ という音とともにその男の頭が声ごと燃えて蒸発する。
その炎を発したのは、こちらへと歩いてくる二人のどちらかだろう。
FHセル“ネスト”のメンバーだ。
「あーんまりにも煩い鳴き声がするから思わず燃やしちゃったけど、良かった?」
「構わない、生かしておいたところで何の価値もないだろう。ドグマ、やはり、リーダー以外は恐るるに足らず(眼鏡クイ」
「げ、てーかこの子、思わず助けちゃったけど気絶してないって事はオーヴァードじゃん?んでこんなとこいるってことはドグマじゃーん」
その二人の意識がこちらに向けられる。
「こんな子供までやれってーの?」
「オーヴァードだぞ、見た目など関係ない」
「たはーつめたー。ま、しょうがないか。じゃあねボク」
そういってそのFHの視線に炎が奔る。
しかし、その視線の先にはすでに八咫はいなかった。
「あれ、逃げた?」
そんな声が、遥か後方でつぶやかれる。
しかしそんなもの気する余裕はない。
逃げなければ、死ぬ。
燃え盛り、崩れゆくアジトの中を走る。
激しい戦いの音はすでに止み、逃げるドグマをネストが追い詰める。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
何に謝るでもない。そこかしこから漂う終わりの気配を感じ、体の奥底から湧き上がる恐怖。
謝ることで和らぐことはない、逃れられない恐怖。
私を縛るこの場所、私を縛るドグマ、自分の中で絶対だったものが、いともたやすく壊れていく。
こんなにももろいものに、囚われていたという事実から、本能的に逃避しているだけなのかもしれない。
心の底から八咫は恐怖、そして絶望した。
そんな中で、八咫に初めての感情が芽生える。
振り切る恐怖の反動で、八咫は愛を求めた。
「父さん・・・!」
私を愛したことは一度もなかった父。
しかし父は私の中で、ただひたすらに、純粋に、絶対の存在でもあった。
あんな男にそんなことを求める私もまた、先ほど燃えた男と同じで思考を恐怖に支配されてしまっているのだろう。
崩れ落ちるアジトの最奥。限られた者しか入れないリーダーの部屋。
燃え盛るアジト内を走り、たどり着いた。
父が、紫電の鷹と対峙していた。
「そろそろ、諦めろ」
「こ、の、クソガキィ・・・!!!」
父の腕から鮮血の刃が炸裂する。
しかしその刃は、初めて見るような、頼りない、力のないものだった。
その刃を鷹は閃光となり、かいくぐってそのまま、雷の槍となって父の胸を貫いた。
「ぐアアアアアアアアアア!!!!!」
「さすがに手こずったが・・・、これで終わりだ。ドグマ」
父の胸を抜けた先に閃光が集まり、再び紫電の鷹を形作る。
そして翼を広げて、父を殺すための力をためる。
バチバチと、閃光が私の視界を埋め尽くす。
アジトが燃える炎なんかよりもまぶしい光。
でも、私は目が離せない。
ここで目をつむったら、あっけなく、一瞬で、すべてが終わってしまうから。
「ーー父さん!!!!!!」
紫電の鷹と、父の、意識が私に向く。
瞬間。
「心ォ!!!」
そう叫んで、父は私に飛びついてきた。
紫電の鷹は、ふるえば終わる光をこちらに放つことはなく、ただこちらを見ている。
「心!どうして逃げてない!お前、お前だけは逃げてくれたと思っていたのに!」
父は誰かの名前を呼ぶ。そうして私を抱きしめる。
暖かい。初めて、いや、生まれてすぐはあったのかもしれないが、記憶にある限りは初めて抱きしめられていた。
紫電の鷹は、その光を収めずに呟く。
「貴様の子か」
「・・・心はドグマとは関係ない。こいつは出来損ないでな。ここから出たことすらない」
ギュ、と私を抱きしめる腕に力がこもる。
「こいつはお前らの言う罰すべき悪ってやつには、入らないはずだな・・・?」
父に抱きしめられ、胸が、今まで生きてた中で、一番早く動いている。
「この子だけは・・・。というやつか。フン、ドグマのリーダーの分際で、良くもそんなことが言えたものだ」
本当に・・・。と、そう言う鷹は、平静を装っているが、敵意は全く衰えていないが、ひどく困惑している声色だった。
「残虐にして暴虐のドグマの親玉が、我が子の為なら敵の眼前でそんな隙だらけの無様な姿を晒すのか・・・!」
困惑は怒りをはらんでいた。
当たり前だ。我が子をかばう両親を前に、父は、ドグマは絶対に手は緩めない。
そんな人間がこんな行為をすることは、ありとあらゆるものへの冒涜であり、侮蔑だろう。
だけどそんな事、今の八咫には些細なことだった。
心とはおそらく私のこと。そして私の名を呼び抱きしめてくれている。
これだけで、他に何があろうとなかろうと、心が、全身が、世界が、ひどい幸せに包まれていた。
「俺を殺したら、この子は助けてくれ。」
抱きしめながら、父が言う。
数瞬ののち、
「俺たちは、お前たちとは違う。どんなにお前が罰するべき悪でも、その子供には罪はない。」
光を抑えず、殺意も衰えず、その上で理性の判断。
油断など微塵もしていない、しかし私を離すまで光は振らないだろう。
父は、最後だといわんばかりに、もう一度私を強く抱きしめる。
ぎゅっと。
9年、注がれなかった八咫の心に、何かが満たされた気がした。
私の体はどうにかなりそうで、自分のものではないみたいで、でも苦しくなくて、死にそうなときと似てるけど、でもそんなことは全然なくて、
なんだかわからないまま、私は父の腹を貫いた。
「あ、れ」
内臓を押しのけ、それを握る。
「・・・な!?」
鷹が驚いている。
「・・・ッ!!?」
勿論父も。
明確な殺意をもって、心臓を握りつぶす。
「ーーーッ!!!!!!」
確かに父は限界だったみたいだ。
心臓を一回つぶされたくらいで力尽きてしまった。
膝をつき、今は私が父を抱きとめてあげている。
苦しいかもしれないから、腕はすぐ引き抜いた。
血が、吹き出て頭から浴びる。
とても温かい。
「き、君は・・・!一体何を・・・」
紫電の鷹が、かわいそうなほどに吃驚している。
光も収めてしまったみたいだ。
私は初めての愛をもらった。
幸せで心が満たされている。
愛とは人それぞれなのだそうだ。
だからその向けられた愛が、たとえ偽りだったとしても、それは私と父との愛のカタチだ。
私を抱きしめたのは自分が助かる為で、私ごと、紫電の鷹を殺そうとしていた殺意の上に有ったものだとしても、愛だ。
心という名前が、私につけられたものでなく、咄嗟に出てきた多分ほかのだれかの名前だったとしても、愛だ。
私をずーっと閉じ込めて、母さんを殺して、こんな世界で生きてきた理由を作った父が、他のだれかに殺されてしまうのが嫌で、それが怖くて、それでも頑張って走ってたどり着いて、そして私が父を殺したのも、愛だ。
誰にも渡さない。
ひとつも譲らない。
だってこれは初めての、私に生まれた愛だから。
それからはよく覚えていない。
父を殺した私はもう死ぬことは怖くなくて、紫電の鷹に焼かれると思っていたけど、なぜか生きていた。
次に目覚めた時、私はネストのアジトのベットで寝かされていた。
「色々聞きたいみたいだよ」
と、白衣の女性が優しく言ってくれた。
そうして女性と入れ違いで、部屋に入ってきたのは、怖い顔をした紫電の鷹、ネストのリーダー、アーククライン。
のちに私の人生を変えてくれる人だった。
第一章 渡り鳥 了
要約
FHドグマとFHネストの抗争が勃発し、計画的な奇襲を受けたドグマはなすすべなく壊滅する。
その際、鬱屈とした生活を強いられていた八咫はオーヴァードとしての衝動が初めて発現し、父を自らの手で殺害。
ピュアブラムストーカーであった父の濃い汚染された血を浴び、ブラムストーカーのシンドロームが発現。
所謂亜純血"デミブリード"として覚醒する。
その殺害を目撃していたネストリーダーは八咫を保護した。
第二章
「亜純血…デミブリードね」
白衣の女性、Aさんが言う。
「腕が増えて、それしかできないっていうのは間違いなかったと思う。キュマイラのピュアブリードだったのは間違いない」
カタカタと、キーボードを叩く音が響く。
「でも今は、微弱ではあるけどブラム=ストーカーの反応もある。恐らくそのドグマリーダーの血を浴びた時、発現したのだと思う。・・・まあ、直接それが要因かはわからないけどタイミングはその時でしょうね」
あの事件の後、私はキュマイラとブラム=ストーカーのクロスブリードとして再覚醒したらしかった。
しかしキュマイラは依然ピュアの反応を示しており、こういったオーヴァードは亜純血と呼び、ごく稀に確認されるとの事だった。
ブラム=ストーカーの力・・・。
父さんの力が、私の中に・・・。
「どうしたの?にやにやして」
「!!!!!!!????」
最悪だ。顔に出ていた。
「ごごごごめんなさい!気持ち悪かったですよねごめんなさいごめんなさい」
「そ、そんなことないわよ?そんなに謝らなくても・・・」
困った顔をしている。困らせている。最悪だ。こんなに良くしてもらっているのに。
普通に、普通の顔をしなくては。
「・・・・・・・・・えへ(ニチャァ」
「・・・?(ニコリ」
笑顔を返してくれた。聖母なのだろうか。聖母なのだろう。
私みたいな薄汚いカラスと、面と向かって話してくれる。それだけで私の視線が泳ぎ続ける。
どころかもはや、溺れている。
だってこんなにも息苦しい。なにか、何か話した方がいいのだろうか。
こんなにも自分が無視されていないと言うのはひたすらに慣れない。何かしなくてはいけないという気持ちになる。
「・・・・・・・ァ・・・・・・・・」
「・・・(カタカタ」
話そうとしたら変な声というか音が出たので、もう口を開くことはやめにした。
相手は作業をしているんだ。話しかけていいわけがないんだ。
作業していなくても私なんかが話しかけていいわけがないんだ。
影に、その辺のシミになろう。
私はシミ。私はシミ。私はシミ。私はシミ。
ガチャ といって扉が開き、人が入ってくる。
ネストのリーダーアーククライン。
「失礼、心はいるか」
「あらお疲れ様、リーダー。心ちゃんならそこにいるじゃない」
「・・・・・・・おつかれさまです」
「―ッ!?・・・・・すまん気づかなかった」
吃驚させてしまった。
心、と父に呼ばれたのを聞かれていたので、そのまま心として通っている。
カラスでいいですと何度も言ったのだが、大方の事情は全て話してしまい、アーククラインの命によりネストのメンバーは全員が心と呼ぶ。
心。そう呼ばれるのは、心地が良すぎてどうも慣れない。むずむずしてしまう。
「どうだ、心のレネゲイドは。やはり亜純血か」
「ええ、間違いなく。」
「では、もう一つの方はどうだ」
「そうね。全く、何度やっても同じ結果よ」
Aさんは何かに観念したかのように呟く。
「遺産継承者の反応が確かに確認できるわね・・・。」
遺産継承者。遺産と呼ばれる古のレネゲイドに感染した物品と契約を交わしている者のことだそうだ。
それをオーヴァードは使役し、超強力な力を扱える希少な存在。
亜純血と同じく、確認できるオーヴァードは非常に稀である、とAさんは言う。
そして、
「これらが同時に、同じ存在から確認できたなんて話は、一度たりとも聞いたことがないわけなのよ・・・」
もしかしたらいたのかもしれないけど、少なくとも文献などには残ってないわ、と大量のコピー紙に埋もれた部屋の中で、Aさんは言う。
それを聞いたアーククラインさんは顎に手を当てて神妙な面持ちをしている。
「そうか。ありがとうA。これだけの量の文献をよくこの短期間で調べてくれた」
「ボーナスははずみなさいよね」
力なく呟くAさん。
勿論だと答えるアーククラインさん。
ドグマと同じFHとは思えない光景だ。
アーククラインさんは、私に向き直り、私は床を見る。
「心、そういうわけだが、しかしやはり自覚はないんだな?」
「・・・は・・・はい・・・。ごめんなさい・・・」
「いやいい。こちらの解析でも、遺産の反応はあるがそれが何か、明確には判らない。能力にも影響が出ている様子はない」
リーダーはまっすぐに人の目を見て話すので、私の視線は床に張り付いて離れない。
「心、キミは奇跡のような存在なのかもしれないな」
「わ・・・私はそんな・・・大層なものでは・・・ごめんなさい・・・」
「ブラム=ストーカーの力の使用には問題ないか?」
「は・・・はい」
ブラム=ストーカーの血の力は、嘘のように私の体になじんでいた。
足りないピースが嵌ったかのように、それに合わせてキュマイラの力すら成長を見せている。
「わ、私・・・戦えます・・・」
保護されてからしばらく、私はネストのメンバーに、能力の調査と並行して戦闘訓練を受けていた。
ネストには色々な人がいたけど、アーククラインさんのおかげで皆さんは私がまるで普通の人のように接してくれていた。
その中で私の能力の使い方や癖についてアドバイスをたくさんもらって、私は私の使い方を覚えていった。
頑張って、張り付いた視線を床からはがし、アーククラインさんの目を見て答えた。一瞬だけ。
「ネストで、戦わせてください…」
アーククラインさんはその鋭い目で私を見続けている。
「ではお前は今日からネストの一員だ」
「は・・・・、はい・・・!」
FHセル、ネスト。「罰するべき悪」を滅ぼすことを目的としたセル。
罰するべきという主目的を置いてはいるが、行うことはテロ行為。
UGNとは一線を画した、正真正銘のFH。
各々が各々の癖を持つ、そして身寄りのない犯罪者。
しかしこのアーククラインという人物を、皆が慕い、一つにまとまっている。
ドグマと比べると規模は1/3もなさそうだが、皆が相当の力の持ち主だと、何となく感じている。
私は、ネストとしての目的は、どうでもよかった。
私のためにこんなにもいろいろしてくれたネストの、あの地獄が地獄であると教えてくれたアーククラインさんへの、私にできるせめてもの恩返し。
私の存在を認めてくれたみんなへの奉仕。
その為ならなんだってしよう。誰だって殺そう。
私はここに、存在したいから。
アーククラインさん、改めリーダーさんはふっと、眉間を緩めて柔らかい表情になる。
「であれば、コードネームが必要になるな」
「コードネーム・・・」
少し前に、どんなものがいいか聞かれた。
本当に何でもよかったのだが決めていただけるというのになんでもいいで終わらせるのはおこがましいとも思うし”必ず三案出す”という他でもないリーダーさんからの宿題だったので一応出すことはできている。
Aさんが資料をパラリとめくり、私の汚い手書きの紙をみて呟く。
「カラス・ゴミ・あ。・・・なんとも個性的ねぇ」
「なるべく、文字数が少ない方が・・・私なんかのことを呼ぶのに時間がかかると思いまして・・・」
「数文字の発音分くらいなんてことないでしょう・・・。ゴミなんてまずnoだし、あ、ってのもねえ。カラス・・・だってドグマでそう馬鹿にされてたんでしょう?」
「ご・・・ごめんなさい・・・・・」
「謝ることはないけど・・・。別に駄目だってわけじゃないわよ?でもほんとに心ちゃん自身はこれでいいのかなーっていう」
私なんかのことを慮ってくれている。Aさんの目に悪意は一つもないのがわかる。だからこそ私なんかの事を、こんなに考えてもらうわけには・・・。ああでもどうすれば。
「俺はカラスが蔑称だとは思わないな」
リーダーさんが呟く。
「リーダーさん・・・?」
「・・・リーダーに敬称はつけなくていい」
コホン と一泊おく。
「カラスは賢く、強く生きる力がある。そして何よりも家族思いだ」
へー、とAさんが感心している。
「詳しいのねぇ。調べた?」
「・・・俺も鳥に関する能力を使用する身だからな、思うところもあるさ」
調べたのだろうか、私なんかのために、という反応を見せた私を制するかのようにリーダーは言葉をつづけた。
「心のくれた案も踏まえて、コードネームはアンリアルレイヴン。奇跡の存在、八咫烏からとっている」
「俺たちネストにとっても、特別な存在になってほしい。どうでもいい存在などとはもう言わせない」
そう言ってリーダーは私に手を差し伸べる。
「お前は今日から俺たちの家族だ、奇跡の存在」
リーダーの姿がまぶしくて、私は何も言えなかった。
何も言えずに、しかし私は、リーダーの手を取っていた。
初めて私に"家族"ができたのだった。
それから約2年間、私は本当に幸せな時間を過ごした。
メンバーの皆さんと本当に家族のように、どんどん打ち解けていった。
私が一番、人間らしかった時間だろう。間違いなく。
でもやっぱり、私なんかには、そんな幸せは、許されるべきものではなかったのだ。
私のせいでネストは壊滅する。
私のせいで、家族はみんな死んだ。
私のせいで、リーダーは闇へと落ちてしまった。
私がリーダーの手を取って、掴んだところから黒ずんで腐り落ちるかのように。
私は奇跡の存在なんかじゃない。
存在してはいけない存在だ。
第二章 虚構存在 了
要約
亜純血"デミブリード"として覚醒した八咫はネスト内で治療、戦闘訓練を受ける。
その中でもう一つのDロイスを持つことが判明する。
行く当てもなく、そして特別な存在であった八咫を、ネストのリーダー、アーククラインはネストの一員として受け入れた。
しかしのちに、八咫の特殊性を聞きつけた研究機関からの再三の攻撃により、ネストは壊滅する。
八咫はUGNユリカモメに拿捕された。
第三章
要約
UGNユリカモメにて八咫はモルモットとして非道な人体実験を受け続ける。
しかし罪の意識からそれに抵抗するつもりは八咫にはなかった。
そんな八咫に、優しい声をかける者がいた。
数年ののち、その人物の助けにより、逃げ出すことに成功する。
しかし八咫は、UGNから逃げ出せたところで、自らの罪から逃れることは、何があろうとできないのだった。
第四章
要約
辻斬りのような数年を送り、とうとう八咫に救いの手が現れる。
アトランティスのリーダーだった
なんやかんやで八咫の心を開きアトランティスの一員になる。
人間性を回復させてきた八咫が今思うのは、地獄のようなあの機関で、自分が壊れずに済んだ要因。
優しく話しかけ続けてくれていた、なんとかちょうこの安否だった。
セッション履歴
| No. | 日付 | タイトル | 経験点 | GM | 参加者 |
|---|---|---|---|---|---|
| フルスクラッチ作成 | 0 | ||||
| シナリオ | 24 | ||||
| 自前 | 14 | ||||
| シナリオ2 | 22 |