常に不敵な笑みを浮かべる、気取った服装の男性。

　大抵の物事に対して平然としていられる、超然とした性格。わざとらしい反応をしたりすることもありフランクな印象もある。

　亜備須市UGN支部の新米支部長で、FHへの潜入任務を完遂し帰還したエージェント。支部長の座はまだ盤石ではない。

　かつて存在した、とある伝統的な企業の傍流家系であった五橋家に生まれた。出生当時、本流家系である一城家は跡継ぎ足りえる男子に恵まれず、跡取りを育成するために傍流家系に生まれたキリノに目を付け、生まれてすぐに養子として強引に引き取った。以降、キリノには実の両親の存在は隠され、跡取りとなるべく帝王学を叩きこまれて育つことになる。

　幼少期から続く帝王学の詰め込みに、自由の一切ない現在と将来、それに異を唱える者のいない閉鎖的な環境にストレスをため込み続けたキリノは、19歳のとある日、義理の両親への反抗として両親に不都合な何かを探すため、隙をついて義父の部屋を手あたり次第に漁った。その時見つけた書類で、自身に実の両親がいることを知ったキリノは、それを義理の両親に問い詰めた。
　最初はそれまでよくあった些細な口論として義理の両親は流そうとしたが、キリノが義父の部屋で見つけた書類を出すと双方段々とエスカレートしていき、ついに義母が口を滑らせ、養子として引き取った動機や、実の両親を蔑視している事を示唆する旨を話してしまう。
　その事が逆鱗に触れ、キリノはオーヴァードに覚醒。怒りに身を任せ義理の両親を爆殺してしまう。爆発の閃光はあっても、遺体も残らず爆音もしなかったこの事件はUGNの目を引き、UGNはこの事件を事故として処理し、オーヴァードとして目覚めたキリノを発見し保護した。当時のキリノは、聴取結果によると自身で両親を爆殺したことを確かなこととして認識した上で、平生としていたことが記録されている。

　UGNに保護されて以降は一城家を離れ、メンタルケアもかねて能力の訓練を行いつつ大学生活を送ることになった。潜入工作に適した能力を発現したキリノは、訓練の成績から次第にその能力を認められ、UGNエージェントの職を推薦される。キリノ自身も自身の能力と存在を初めて他者に認められたことから、UGNエージェントとしての将来を目指す様になり、大学を卒業すると、しばらくの訓練の後、初めての純粋な期待を受けながら、UGNエージェントとして活動を始めた。

　UGNエージェントとして活動し始めてすぐの頃のある任務で、キリノは御伽刃カンナと共同で任務に就くことになった。その任務は成功裏に終わり、以後FHへの潜入任務が伝えられるまで、キリノはカンナとバディを組んで活動していた。

　FH組織「Back Door」への潜入の際に用いた偽名は一城 藤（いちしろ ふじ）。CNは"マスターキー"。当時のキリノ自身に関するそれ以外の情報は帰還時にすべて抹消されている。