容姿・経歴・その他メモ

　彼女の願いはただ一つ、『生き続ける』これだけである。そのためなら、何もかもを捨てる。正義も、誇りも、仲間であっても、彼女は捨てる…いや、人との関係はもう持つことはない。最初から信用されず、信用しなければ裏切られることもないのだ。彼女の優しさは人を遠ざけるためにある。
　彼女の生まれはUGNの施設であった。両親はUGNの中でも名前の知られたエージェントであったが、顔を実際に見たことはない。それでも、孤独は感じなかった。同じような境遇の【家族】が居たからである。同い年の三人組は何をするのにも一緒であった。初めての任務も、初めての失敗も、成功も共に分かち合った。UGNチルドレンを卒業する年に事件は起こった。【彼】が裏切った。裏切りの代償は、【家族】の死。彼女もそこで死ぬはずだった。しかし、彼女は生きている。もう一人の【家族】の『風葛(フウカ)』の心臓を譲りうけたからだ。そもそも、彼女は心臓が弱くエージェントとしては不合格のはずであった。一人の裏切りと一人の死が彼女がエージェントたる資格を満たした。しかし、彼女は願う【彼】のことは忘れて、ただこの命を繋ぎたいと。
　そのため、任務は危険になる前に早々に切り上げ、失敗することが多くなった。親の名前と比較されることもあったが、どうでもよかった。しかし、慌ただしい状況の変化に対応するべきUGNの中央に彼女の居場所はなかった。彼女は比較的に仕事の少ない支部に配属された。しかし、そこでも成果は芳しくなく、支部の庭園を整備ばかりを続けている。そして、その庭園で紅茶やコーヒーなどを淹れる様を見て、人は彼女を『Gardener(庭師)』と皮肉を込めて呼ぶ。

霧谷雄吾
　彼はチルドレン時代からの上司で、彼女の過去の出来事も正確に把握している人間。直属の部下からは外れてしまったが、たまに直接依頼されることがある。兄のような、親戚のお兄さんのような感覚で接してきているので、今更縁を切ることもできない。その他恩義があるため、彼からの依頼は素直に受ける。

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