幼いころからレネゲイドに関する勉学や訓練をするUGNチルドレンは機械的になりがちだが、彼女はそれが顕著に現れている。「自分は死んでも構わない」と危うい自己犠牲精神を持っている。

サイボーグを思わせるほど無表情であり、機械的な話し方をする。ノイマンシンドロームらしく、演算能力に優れているのも「サイボーグっぽい」とよく言われる。
――「感情豊かな皆さんが、羨ましい…と私は思考します」
実際彼女自身も無表情であることをコンプレックスを感じている…しかし『羨ましい』と感じているように、感情が無いわけではない。ちゃんと喜んだり怒ったりできているが、『ポカポカします』『心拍数急増、体温上昇』と自分の感情に無自覚なのである。
○市支部のみんなのことが大好きで、大事な仲間だと思っていた。○市支部では「さっちゃん」とよく呼ばれていた。

親に棄てられた過去から自分のことも他人のことも恐怖し、信用できなくなってしまった。UGNのカウンセリングの結果、自分で自覚してはいるが、それでも治るのには時間がかかりそうだ

通常、嫌悪の衝動はレネゲイドウィルスにとっての外界――宿主が認識する世界――から宿主を刺激から守る過剰な防衛反応…アレルギー反応のようなものだというのが通説である。
しかし彩の場合は特殊である。彩のレネゲイドウィルスは暴走した際、宿主への防衛反応として『感情の鎮静化』を行ってしまうのである。これはオーヴァードに目覚めたての頃に両親に棄てられた時の過剰なストレス――つまり内界からの刺激が起こったため、彩の中に住み着いたレネゲイドウィルスはこれを鎮静化。…そのまま暴走時には『感情の鎮静化』が症状として現れるようになった。というのが彩の症状の考察である。

…最も、これは彼女が自身も他者も受け入れられない…信用したくない不信感から起きている特殊な症状である。自分と他人を信じるようになったとき、彼女はどのような衝動症状を起こすだろうか？