まず思い出すのは、赤く染まる視界。そして鳴り止まぬ雷鳴。
肌が焦げた。肺が灼けた。吸い込んだ煙により意識が途切れた。
家人たちの尽力も、遅れて駆けつけた消防隊も為すすべなく、炎は消えずに燃え続けた。
目の前で両親が死んでいく無力感に苛まれながら、鞍馬御人は一度死んだ。

次に思い出すのは、金色に輝く誰かの姿。
燃え続ける家の中から、御人だけを救い出した誰か。炎の中でも揺らぐことのない、凛とした立ち姿。
そして、一度死んだはずなのになぜか生きている自分自身。
奇跡だと思った。目の前の人が奇跡をもたらしてくれたのだと確信した。
鞍馬御人は、その日見た『黄金』に憧れた。

鞍馬邸を焼いた消えぬ炎は、鞍馬家が保有していたレネゲイドを宿す遺物、"遺産"(レガシー)がもたらしたものであり、御人が憧れた『黄金の人』もそれを追っていたのだが……御人がそれを知ることはない。
そしてこの黄金の人はPLムラの過去キャラ

現在の御人の行動原理は、3年前の事件、およびその時自分を救い出した『黄金の人』がもたらしたイメージに大きく影響されている。しかしながら、これは鞍馬御人本来の在り方を大きく変えたわけではない。
御人は、大切に思う友人たちがいつかいなくなるかもしれないことを知っている。そして、救うための手段が自分の力にあることも知っている。今度は誰も失わないという戒めこそが、御人が自分自身に課した"黄金のちかい"である。
御人と普通の小学生に違いがあるとすれば、それは非日常を「知っている」という点だけなのだ。

ブラム=ストーカーの血液によって作られる擬似生物、従者を作り出す能力を持つ。
最初にこの能力が発現した時、想像したのは憧れた『黄金の人』の姿だった。
流れ出た血は確かに、あの日見た気もする背の高い黄金の人型を形作った。
御人は密かにこの能力を鍛えた。次に自分が死に頻した時に、必ず大切な人を救い出す騎士を、血によって作り出す訓練を重ねた。
能力を使い続けるうちに従者は、あの日見た雷と、消えぬ炎を操る能力を得た。

神々の黄昏(ラグナロク)においてエインヘリアルを率いる戦神オーディン（オージン）。
オーディンはヴァルハラの長、ヴァルファズルの異名を持つ。