私が"マガツレガリア"と呼称するもの。それがどういう経緯で得た能力か、実のところ私自身にも分かっていない。自己分析では罹患者を万能の天才たらしめるノイマンシンドロームと森羅万象の象徴の名を冠するウロボロスシンドローム、そしてあらゆる環境に適応できるキュマイラシンドロームが複合することで生まれたものと考えるのが妥当なんだけど……それだと"どうして生■に■うことが■■たのか"。まー考えても仕方ないし、軽く説明しとくね。簡単に言えば、私が観測し(み)たモノをあることに、観測し(み)なかったモノをないことにする力。この世界で実在が認められるものって、ほぼ全員にあるって思われたものなんだ、民主的だよね。たとえば魔法とかさ、色々なところに広まって、信じる人が減ったから実在しなくなったわけよ。ん？レネゲイド？ああそれはだって……みんな信じちゃったじゃん？疑いもできなくなっちゃったし。それを狙ってたかは知らないけどねー。私はいわば独裁者、何でもかんでも好き勝手出来るわけよ。……まぁやり過ぎると消されるけど、誰にって世界に。それに"ある"ものを無闇に消すとどんなものでも結構なエネルギーが暴発したりね。レネゲイド消した日にゃ宇宙が塵になるわよ。ないものを観測し(み)ちゃうのも後々やっかいになって以下略。じゃあ何に使ってるんだって話だけど、基本的にゃ結果の導出ね。それも助からない病人を治したり、邪魔者にどっか行ってもらったり、戦いで気に入らないやつぶん殴ったりって感じ。んで、ちゃんと管理するために個々の能力をユニットと定義して、拘束機関を作って……その結果生まれたのが、三つの能力を繋ぐ核、EXレネゲイドに感染した三つの装備、要するに天権(レガリア)ってワケ。……ん？そう考えるとあのおじいさんが私に貴重な物渡してくれたのってこれを予見してたから……？まぁいいか。

　あー……それ聞きたい？数年前に名乗るのやめたんだけどね。まず何をもってマスターエージェントになれたか、だね。研究だよ、生命とレネゲイドについてのね。表立ってやってたのは別の子だけど。天権(レガリア)についての説明は聞いてたよね？私にとって研究も発見も意味を成さないけど、だからこそ、結果の導出に関与した……簡単にいえば変なものが実在性を持たない様に調整してた。まぁ所属が所属だったから面白半分でいい意味で変なものをこの世界に認めさせてたことはあるけど。あとは研究施設の護衛とか。あとでやり過ぎって妹に叱られたけど。そしたらその子にすごい感謝されちゃってさー、称号含めて色々なものをくれたんだよ。まー早い話、優秀な助手かつ、決して敵を通さない強い駒(マスターレガリア)って意味なんだけど。抜けた理由は本当に言った通り、妹に「めっ」ってされたからだよ。一瞬で四肢の付け根撃ち抜かれて簀巻きにされて連行されたときは、ああ、ホントにガチギレしてるって思ったもん。本当にやっちゃいけないことまではしてなかったし、実際はちゃんと抑えてたから、情状酌量してあげるってことで擁護してもらえたけど。

　zzz……

　FH脱退後、あるいは……とある強大な存在（現在ではオーヴァード、またはジャームと呼ばれる存在）を柩の中に縛り付けるために生み出された『鬼刻封印機関(カスケットシーラー)』のNo.4であった頃のコードネーム。
　出自年齢は言うに及ばず、身体内部の情報全てがブラックボックスである。分かっていることはマスターエージェントをやっていた頃と比較しても、彼女の外見は一切変化していないということ、そして現在、彼女と同じような存在が少なくとも四人は確認されているということだ。
　彼女自身、困っている人や苦しんでいる人を積極的に助けたいというのは紛うことなき本音である。しかし、善悪にあまり頓着しない部分があり、FHに所属していたのもそれが原因の一つである。またとある事情で医学的知識を蓄える必要があったため、『禍津天権』を使用せずとも医者としては優秀であり、使用時にはスムーズな結果の導出とほぼ影響を及ばさない観測によって治せないものはほぼ無くなると言っていい。ちなみに医者免許は"ある"。
　日本に拠点を置いている理由は二つ。愛する妹がいるから。そして、冷えたビールに魅せられたからである。ちなみに初めて勧めてくれた店主の店は、一週間に二回は通っている。最近では日本酒を勧められ無事ハマった結果、酒癖の悪さがさらに加速している。