Y作戦とは、結香零極が組織するレネゲイドに関する私的研究施設"結香研究所"の殲滅を目的とした極秘襲撃計画である。
　結香研究所はY作戦により崩壊するまで運営され、プロジェクト・アダムカドモンに深く関与し非倫理的な実験を繰り返し行っていた。中でも最も危険視されていた研究は【創世記の箱舟】(プロジェクト・ジェネシスノア)である。

　Y作戦により結香零極本人及び研究所に収容されていた被験体は死亡が確認された。ただし例外として結香零極の実子、結香一夜のみがUGNの監視下で現在も生存している。
追記：のちの研究により、結香一夜と結香零極は血縁関係が無いことが判明した。

【創世記の箱舟】(プロジェクト・ジェネシスノア)とは、プロジェクト・アダムカドモンから派生したとされており、人為的に生み出した賢者の石の適合者やそのレネゲイド、あるいは賢者の石(あらかじめ成分調整された餌)を、進化の因子を持つ適合者(ウロボロスのオーヴァード)の賢者の石に食わせて進化させ、最終的には器である適合者本人までも賢者の石に取り込ませることで人格を持ち独立した個として行動する究極のエネルギー体(新たな次元の生命)を作り出そうという計画である。

　賢者の石と適合率高い人間はオーヴァードであるか問わず拉致され非人道的な実験の犠牲になり、世間を連続誘拐事件として騒がせ社会問題にまで発展した。UGN及びFHの上層部から支援を受けた結香零極は盟友である日下部仁と共に実験を続け、当初の目的には到達しないながらも遂には新たなる生命の起源(ジェネシスレネゲイド)の素質を持つジェネシスオーヴァード(成長する賢者の石の蛹)を誕生させたと記録されている。また、結香零極がアルフレッド・J・コードウェルと親交があったことから彼の協力もあったと推測されている。

狂気の実験の末に生み出されたジェネシスオーヴァードはY作戦以降、データが完全に抹消されており消息不明となっている。

【創世記の箱舟】(プロジェクト・ジェネシスノア)の研究データは、一つの完成形を産み出した稀有な成功例として、被験者や人格情報やDNAに至るまでが記録され、アダム・カドモンから派生した研究を行うFHの様々な研究所で流用されていることが確認されている。

　20XX年YY月ZZ日 02:00を以って■■県■市■■■町■-■■-■ 結香研究所の破壊及び、同時刻に施設内に存在する民間人を含む全生命体の殲滅を命ず。

報告書作成日 20XX年YZ月AB日
報告者 ■■■■■
Y作戦における記録を下記に示す。

20XX年YY月ZZ日
Y作戦行動を開始。
20XX年YY月ZZ日 02:02
施設内の電気系統を遮断、全通行口の封鎖に成功。
前線班による突入を開始。
20XX年YY月ZZ日 02:05
地下階層への通路を発見するも強固な防壁により通行を一時断念、地上部の殲滅を実施。
20XX年YY月ZZ日 02:08
1階居住部において結香零極の妻、結香桜を発見し殺害。所持していた地下部への通行IDカードの確保に成功。
20XX年YY月ZZ日 02:11
地上部に滞在していた全研究者の死亡を確認、設備破壊の為にサラマンダーの能力によって地上を放火して炎上開始。
20XX年YY月ZZ日 02:12
地下部への突入を開始。
特殊トラップにより隊員2名が負傷、作戦継続が困難と判断し後退を指示。
20XX年YY月ZZ日 02:15
被験体が収容されていたと思われる培養室を発見、直近に無数の人間が出入りした痕跡を確認。
20XX年YY月ZZ日 02:17
研究室に籠城する結香零極を確認。周到に準備された防衛設備により足止めを受ける。
現場責任者■■の判断により、サポートに回っていた後衛班を招集、火力集中で突破を図る。
20XX年YY月ZZ日 02:31
防衛設備の破壊に成功、研究室への突入を決行。
20XX年YY月ZZ日 02:32
結香零極及び同伴していた研究者の殺害に成功。
備考:
　研究者はブラックドックのシンドロームを保有していた模様。
　ブラックドックの能力により研究データが外部転送された可能性がある。
20XX年YY月ZZ日 02:33
研究室に存在する文書及び機器の抹消を実施。
現場責任者■■が全抹消を確認。
20XX年YY月ZZ日 02:34
研究室に見取り図に存在しない隠し通行路を発見。
キュマイラの隊員より、直近に無数の人間が通行した臭いがあると上申あり。
現場責任者■■の現場判断により突入を実行。
20XX年YY月ZZ日 02:35
60㎡ほどの広間に到達。
20XX年YY月ZZ日 02:36
広間で結香零極の実子、結香一夜及び容貌不明の人物を発見。
容貌不明の人物は作戦部隊員の突入と同時に消失。
結香一夜の周囲には実験体と思われる少年少女が無数に倒れ伏している様子が見受けられた。
特記事項：
　容貌不明の人物は■■■■■■■■と酷似し、■■■■を保有していたと推測される。
　突入時、結香一夜の胸部に手を浸透させ、結香一夜の身内で何かを行っていた模様だが実体は不明。
　感知能力の高い隊員複数人が、容貌不明の人物の侵蝕率は1200%を越えていた論述している。
20XX年YY月ZZ日 02:36
実験体と思われる無数の少年少女よりレネゲイドウィルスが流出し、結香一夜の元に流入する現象が発生。
その結果、結香一夜の侵蝕率が急激に上昇を開始。また同時に結香一夜の胸部に賢者の石の存在を目視確認。
結香一夜の■■■■■■■■■■■■■が■■■■し巨大な■■■■■として形を成す。
それは明確な意志を持ち■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
20XX年YY月ZZ日 02:37
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
20XX年YY月ZZ日 02:39
作戦本部指示により結香一夜の鎮圧及び身柄確保を謀る。
20XX年YY月ZZ日 02:42
前線班が食われた。
20XX年YY月ZZ日 02:43
■■■■■■■■■の■■■■■により現場責任者■■を含む14名が死亡。
20XX年YY月ZZ日 02:51
統括本部より応援部隊としてストライク・ハウンドが現場に到着。
20XX年YY月ZZ日 02:56
結香一夜の身柄を確保。
バロールの能力により結香研究所からの全隊員の脱出を完了。

最終報告
作戦責任者　■■■■
現場責任者　■■(死亡済み)
作戦従事者　20名(応援部隊を除く)
死亡者　　　14名
負傷者　　　5名
作戦成否　　成功

備考
　作戦本部からの指示により、当初目標である全殲滅を中止。
　結香一夜の身柄は作戦終了後、ストライク・ハウンドによってUGNアールラボ日本班に搬送。
　その後については特秘甲号指定のため本文書で記載を省略す。