数少ないゾディアックウェポンの更に少ない使い手を少しでも増やそうと立案された「星の子計画」によって通常のチルドレンよりも更に過酷な訓練と特殊な調整を施されたゾディアックチルドレンと呼ばれる者達の一人。
かつての彼は星の剣の使い手たるプライド、UGNの使命、そして溢れんばかりの闘争本能のままに12才という若さでエージェントに着任、多くの任務に挑み数々の強敵との戦闘に明け暮れていた。
当時のコードネーム【嵐の獅子王(ストーム・レオーネ)】の名の通りまさに嵐のように激しく獅子のように気高い男だったが五年もの激しい戦いの中で多くの喪失や敗北、別離などを経験した彼はいつしか戦いに逃避感を覚えるようになっていた。
それに重なるように長年にわたって剣の力を引き出し続けていた結果、彼の肉体は相当な疲労とダメージで限界を迎えかけていた。
ここらで一度己を見つめ直す時間が必要だと判断した彼は本部の異動を受け最前線から退き、休息の時を過ごすこととなった。
そうして獅子の戦士は己が体験してこなかった日常というものを肌身で感じ感動を覚えた。


この剣を持ち続ける限りはいずれ再び激しい戦場に戻る事になるのは百も承知だ。
だからこそ獅子は今しか味わえない穏やかな凪の時間を眠るように安らかに過ごす。
されど獅子の牙は一本も抜け落ちておらず。
もしこの儚くも愛おしい時間を壊さんとする者が現れたというのならば、嵐の獅子は容赦無くその牙を剥き出し己の命を削ってでも斬り捨てるであろう。
【嵐の獅子王(ストーム・レオーネ)】は未だ健在。ただ眠りについているだけなのだ。