物心ない頃に親から売られ、FHセル『タイムクォーズ』のFHチルドレンとして生を受けた。

セルの目的は"永遠を観測する"ことであり、様々な方法で永遠と呼べるものを顕現させようとしていた。
彼女の存在も手段の一つであり、バロール覚醒者の手によって作られた時間の矛盾を観測することで時間が流れない空間、即ち永遠の無を手にする為生み出された。
何人もの失敗作の中で生まれた成功作であり、彼女の力は時空を歪めることに特化している。

しかし、セルの中で内乱が起きてしまった。
同時期に産まれたもう一人の永遠を冠する個体とどちらをセルリーダーの成果物にするか、互いの代表者が揉めた。
セルは内部分裂し、街を巻き込んだ闘争にまで発展する。それに乗じたUGNに制圧されセルは解散。

二人の実験体はUGNに引き取られた。

正しく育まれなかった彼女は利己的で、FHの思想と重なる考えもあり、引き取られた支部の中でも浮いてしまう。
それでも明るく接してきたのが小羽大成だった。
彼女と健気に接し続ける小羽と、もう一人の成功作の三人でチームを組むことが多くなる。

ある任務で、自身の短慮ともう一人の実力不足で、三人は窮地に立たされることになった。
そして、ジャームの攻撃がハスカップに直撃する寸前、小羽は身を挺して庇った。結果少年は左腕を失うことになり、少女の感情は強く突き動かされる。

状況への反発と受容の日々から脱したそれは、自我の芽生えだった。

それからはチームのメンバーへ能動的に関わるようになった。
しかし、元FHチルドレン二人とよく関わっている小羽の評判が悪いのを耳にした彼女は、支部から出ていくことを提案した。

その先が『烏合』である。

「時間を操る能力ではなく、時空に矛盾を生じさせる能力です。生憎と私の記録は消え失せたので本来の用途は分かりませんが」

「先ずあらゆるものが保留、時効になる空間を視界内に生み出します。そこへ干渉が起きた時、永遠プラス1のような現象が起きます。.......つまりは、とても時間が経った状態になります」

「強きを無に帰し、脆弱性を発生させるこの魔眼が、セルを一つ滅ぼした研究成果です」