最初からチルドレンの義母役として複製された偽りの存在であり。
母親らしい人格こそ培養されたが、実年齢は1~2歳あるかすら怪しく……本来の両親にあたる複製元についてすらも、彼女には明かされていない。

本人にはその自覚があり。
「本当のお父さんもお母さんも解らないけど、私はおかあさんとして作られたのね。」
「……本当のお母さんでないなりに、みんなを癒してあげる存在でありたいわ。」とのこと。

「……あら、常連客くん。雨降ってるからって私にこのお洒落な白コート貸してくれるの？ふふ、ありがとね。まるでお父さんみたいに素敵。」
「……常連客の子に言う台詞じゃないけど、私……お父さんもお母さんもいなかったから、誰かに優しくしたげることは多くても、優しくしてもらう側になることがあんまりないの。だからすっごく嬉しいわ。」
『……別に、あんたの作るスイーツがとびきり旨いからってだけの気紛れだ。予備なら数着俺んちにあるし返さんでいいさ。』

「……おっそろしいマスターレイス？……そんなわけない！ただのそっくりさんよ！」
「失礼な言いがかりは、やめて！あの子は、お父さん……アルさんとやらが大好きなだけの、ただの優しい常連客くんよ！」

残念ながら。
事実、彼はマスターレイス05:ヨハン・C・コードウェル本人であり。
彼のほうからのみ『彼女は自身を元にしてUGNが勝手に作った複製体である(=自身こそ彼女の事実上の父である)』という認識がある。
因みに彼女の前に「マスターレイス05」としての姿を晒したことはない。

甘味とファザコンさ以外の我欲が薄い彼には珍しく、(彼の根っからの性分が歪む域ではないが)かなり気にかけており。
認めた相手のみに整備して譲るとされる『イプシロンジャケット』を彼女向けに整備した上でどさくさに紛れプレゼントしただけでなく。
会って暫くは基本的に父上や彼女のためにもUGNぶち滅ぼすゲージが普段以上に高まり尽くしている。

これには「アイツ甘党ファザコンな以外我欲足んなくてつまんねぇよな」とか言ってた彼の関係者たちもにっこり。


『俺とは似ても似つかねぇ腑抜けたデカ女だが。一応は俺の子供に「お父さんみたい」だなんて呼ばれたんだ。……そいつを蔑ろにするのは。俺どころか、父上の名誉にすら関わるそれだろう？』