道徳の授業、更生を促すためのカウンセリング、でしょうか。
洗脳のような何かを祀り上げるようなバカげたものではなく、人が出来得る善や一般社会での法律、いつか一人で生きていくことになった際に、オーヴァードではなく人として…いえ、詭弁ですね。人に擬態出来るようにと教えています。
人は自分と相容れない生き物を無条件で嫌う傾向にありますので。
我々のように力を持ってしまったオーヴァードは、一般人に合わせて生活を送れるようにならなければいけないのです。

支部長がどうかしましたか？…私から見た印象ですか。
嫌いではありませんし、レネゲイドビーイングだと言うのに上手く人をやっていると思いますよ。ええ。
変な輩に好かれるのは彼女の人柄もあるのでしょうけれど…あれでも支部長ですし、トラブルの対処は自分でどうにかするでしょう。例の日は何をしているか知りませんが、大事な日だと言うことは聞いています。
しかし、その日は丸一日支部長が不在となりますので私も含め職員一同は気の抜けない一日となりますよ。
なんせこの施設には、未熟なオーヴァードだけでなく、彼女でないと制御しきれない輩も少なからず所属していますからね。

知る必要あります？…いえ、失礼。貧乏な一般人の家庭の話なんて今日日珍しくもなんともないでしょう。
聖職者に贅沢も必要ありませんしね。
…マドレーヌや焼き菓子は好きです。バターや蜜蝋たっぷりの。そのくらいは神もお許しくださいます。

よくあるんですよ。
家を出る際にはチェックもしているのですが、どうしてか一ヶ所は何か変なところがあったり、忘れ物をしていたり。
この歳になってまでドジっ子属性なんて可愛くもなんともありませんね。
…はぁ、フォローしてくれる人がほしい…。

えぇ、そうですよ。けれど、教会で大人しくしている彼女達と私が同じに見えますか？
神父様だって｜修道女《シスター》だって、ただの人です。
私も質素な生活が身に付いているだけであって、三大欲求がゼロな人間はいませんよ。
誰も彼も、アダムとイヴの子孫ですからね。

…あぁ、腰の後ろ辺りにありますけど、青タンと変わりありませんよ。
いつからあったのかは判りません。普段見るような場所でもないので。
…ただ、最初に見た時よりも大きくなっている気はしますね。
無意識に掻き毟ってるのか、それともぶつけたりしたのか…はぁ、こんなものを聖痕なんて綺麗な呼び方しないでください。