常に穏やかな態度を崩さない和装の男性。
誰に対しても敬語で語り掛け、社交的な礼儀を滞らせる事は無い。
───逆に言えば、誰に対しても一線を引いた様な態度を崩さない。
医者と患者。UGNの同胞。社会や組織の関係以上を、誰とも築こうとはしない。
好きな食べ物は苺。嫌いな食べ物は肉類全般。趣味は音楽鑑賞。
また、ドライブを好むが車を持っていないので偶にレンタカーを借りている。

神城家の末席に連なる家柄の男。
北条健彦が権勢を振るっていた時代にはFHの一員としてセルを率いていた事もある。
セルの名前は「風声鶴唳」主に社会的地位の高い者達に接近し、恐怖で屈服させてFHに恭順させる事を目的としたセル。
…が、元々温和な性格の貴久には北条の思想もFHの理想も活動も性に合わず
北条の失脚と神城早月の台頭による混乱と共に、セルを解散させ、全てを詳らかにしてUGNに投降した。

しかし、UGN寄りの思想を持ち、神城家の一員であり、元FHという経歴を持つ貴久をUGNが処分出来る筈も無く。
セルメンバーの助命や社会復帰にUGNが尽力する事と引き換えに、UGNエージェントとして活動する事になる。
神城家も表立って貴久を処罰する訳にもいかず、グループ経営に口を出させない代わりに支援する、という事で落ち着いた。

UGNに所属してからは、元々医学の知識に優れていた事から医師免許を取得して正式に医師のカバーを得る。
そして所謂『レネゲイド事件』に巻き込まれた被害者をUGN管轄の病院へ搬送する交渉や、事務処理。
それに類似する業務を行う様になった。交渉事を円滑に進める為、UGNと神城家のコネクションもあって
京都府の某市医師会会長の座に就任する事になる。

『Dianthus superbuS』参加にて、メモリーを取得。

そんな経歴の貴久が京都幽日町支部と関わりを持つのは当然だったのかも知れない。
表向きは医師会会長として、勝持大学総合病院と他の病院との調整役を。
UGNエージェントとして、幽日町支部に対する支援や医療活動を行っている。
その為厳密には、大学病院所属の医師ではあるが、支部員という訳ではない。
大学病院からの外部協力者である医学部教授、という体で勝持大学総合病院に勤務してる。
専門は内科、及び脳神経内科。

貴久の能力の本質は『幻覚』と『言霊』による精神破壊である。
その為、彼の役割は────助けられない患者(ジャーム)へ、最期を告げる事だった。
皮肉な事に、FH時代の技術や能力を存分に活かす事の出来るその仕事は。
貴久に取って、苦悩を感じつつも万全にこなす事の出来る『治療』であった。

北条健彦から与えられ、適合した遺産。
かつては貴久のセルの拠点としても機能しており、膨大な財貨が積み込まれている。
…が、今は無用の長物。海辺の別荘兼倉庫として機能している。
それでも、遺産による契約の代償として────貴久は、誰のものでも無いものを。
『諦められた命』に、執着してしまう。

神城理央とは既知の仲。
同じ神城家であり、UGNの同胞として仲は悪くない。
理央は本家直系。貴久は末端の家系である為、その立場は微妙に異なりはするのだが。