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怠惰な吸血鬼。底の測ることのできない地面の裂け目、人々がなぜか「パーシモン」とだけ呼ぶその裂け目から突然飛翔した源祖の吸血鬼である。

性格は怠惰でずぼら。いくつかの吸血鬼の貴族用の服を着回し、普段は外面だけはまともなボロ屋敷に引きこもって外に出ない。領民と面会することも希少で、領民からの嘆願や領地運営はほぼ秘書の吸血鬼に任せている。貴族院への出席もほとんどないが、彼女が方針を決定している領地への政策自体は特に何があるわけでもなく、無難かつ税もふつ～とこの崩れかけた帝国内においてはかなりまともな部類。

10年前に「パーシモン」から飛来し、業血鬼の手勢から周辺地域の村や町をひとりで守り抜くという大功を成したため、ほとんど生きていないながらも男爵位と自身の守った土地を保有している。多くの者がその時を覚えているが、皆口をそろえて「今の男爵様とは似ても似つかなかった」「まるで人形のようだった」と答える。

相方との出会いは最近領内に現れた業血鬼の対処のため。力が弱くとも血戒を持つ業血鬼には血盟で対抗するしかなく、放っておけば成長しより危険になっていくためスピードが求められたゆえに、適当に自領内の人間から相手を見繕って血盟を結び、さっくりと殺した。…のは大きな理由の一つだが、血盟が組めるかどうか事前に確かめることもせず、即座にその場で血盟を結び討伐を成す。それができると確信したのもある。いわゆる一目ぼれと彼女は考えている。

相方に対しては、強くなってほしいけど平和に生きてほしいと考えている。これからの情勢を考えれば戦闘は避けられず、あっという間に苛烈なものになっていく。それに備えてほしいと思うと同時に、完全にこちらの都合で巻き込み、血みどろの運命を確定させてしまった負い目から、出来る限り多感で無垢な少年でいてほしいという勝手な願いを持っている。