設定・その他メモ

　たれ眉に少し吊り上がった目、泣き黒子にいつも上がっている口角の眼鏡男。
妹にもらった四葉のクローバーを加工したネックレスをいつも首につけている。

　一年前妹によく似た何かと血盟を結んだ。
　妹が死んでから二年が過ぎ、三回忌が行われた。辛いなんてもう通り越してしまって、自分の感情がわからなくなっていた。何度も帰ってきてほしいと願った。そのたび死者への冒涜だと、安らかに眠っていてほしいと思った。自分が本当にひどい人間に思えて、まともに眠れなくなった。
　どうしようもなくて、妹が好きだと言っていた花束をもって、妹の眠る墓の前までやってきた。そこには先客がいた。真夜中で天気が良くなかったため姿かたちはよく確認できない。だが、背丈は妹と同じくらいで、髪も妹と同じくらいの長さの少女だった。妹の友達だろうか、お礼を言わなければいけないなと、その少女に近づいた。ちょうどその子も立ち上がり、きれいな所作でスカートの汚れを払ってこちらを見た。
雲が晴れ、月明りが照らしたそこにいたのは妹だった。大好きで愛おしい、妹がそこに生きて立っていた。言葉も発せず駆け寄り、顔を何度も確認して、手で確認して、もう一度よく顔を見た。そこには妹そっくりの少女がいて、帰ってきてくれたのだと思った。帰ってきてしまったのだと思った。だが、その目は赤く、耳はとがっていた。
　帰ってきた妹は、あの日妹を殺した吸血鬼と同じ姿をしていた。

　十三歳年下の腹違いの妹、四月一日 四葉（わたぬき よつは）がいたが彼女が十一歳の時に吸血鬼に殺されている。
ただいつものように二人で近くの公園まで遊びに行っただけだった。運動神経があまりよろしくない妹が逆上がりの練習がしたいといって、鉄棒の前で応援していただけだった。やっとのことで成功した妹の逆上がり。妹は得意げにピースをして、彼に満面の笑みを向けていた。ただそれだけだったのに、妹は気まぐれで殺された。腕の中で大量の生暖かい血を流し、比例するように冷えていく体を抱きしめ続けた。
目の前であまりにもあっさりと死んでいった妹の、お兄ちゃんと呼ぶ声が呪いのように染みついており、それが今の彼を動かす原動力である。

　十九歳の時父親が四葉を連れてきて、樹に世話を命じた。子どもを不倫相手の女に押し付けられ逃げられ、まだ自分も遊びたいからと樹に押し付け、それ以降家には帰ってこなかった。母親は父親の度重なる不倫により精神を病み、四葉を見るとヒステリックになるため、世話はすべて彼が行っていた。そのうち母親も帰ってこなくなり、家には彼と四葉しかいなくなった。両親の分まで自分がしっかりして、成人するまでこの子を育て上げようと決心した。

　ローサとはよく話す間柄であり、興味がない他人よりはそこそこに友好関係を築いていたが、殺人事件の現場付近で目撃されたという情報を聞いてからは、心にもやがずっとかかっている。どう関係があるのか、君がやったのか、関係ないならなぜ連絡をしないのか、様々な疑問が浮かぶが、一番は何よりも心配の感情である。生きていれば妹の良き友人にもなったかもしれないという目で見ているからか、他より目をかけていたため、事件との関係性を知りたい。

履歴

樹 19歳　四葉（6歳）が家に来る
樹 21歳　警察官に
樹 24歳　四葉（11歳）殺害
樹 24歳～25歳　SIDに加入
樹 26歳　四葉三回忌　妹（仮）と出会う

セッション履歴