設定・その他メモ

　牙狩りの末裔の一族の下に生まれた末っ子なのだが、生まれた目的は次期当主の影武者として生き、そして死ぬことであり、そもそもとして一族の人間として扱われる予定はなかった。そのため教育は必要最低限であり、勿論牙狩りのための技術(呪術)を教え込まれることもなかった。
　のだが５歳のころに見様見真似で一族が扱う楽器を粗末な物ながら自作し演奏した結果、その魔術の威力は家の人間の誰よりも上であり、しっかりと鍛え上げれば歴代最強の人間になれると確信を持てるようなものであった。しかし、彼女の存在意義は影武者として生きることただ一つであり、一族の人間の大部分は実力を認めなかった。
　その出来事からおよそ１０年後、彼女は一族の誰とも似つかぬ顔・体つきに成長し、影武者としての機能を果たせないと一族が判断したことから、幽閉・処分措置が取られることになった。その時には、彼女自身も「教育」の賜物か抵抗を諦めており、自分の処遇をただ待つだけであった。その時に、措置の反対派が遠方へ逃がし、霧揺　まほろという偽名を与えた(本名は水雁　無名なのだが、お前は名前がないと幼少期から常々言われていたことから、この名前は完全に忘れている)。
　一族から離れた後の生活も、彼女は影武者としての生き方以外まともに教えられなかったために別方向に悲惨なもので、定住する場所も稼ぎのあてもなく、いろいろな場所を転々としていた。数少ない知っていることのうちの一つが楽器と演奏であり、必然的に彼女はそれを自分なりに鍛えていくことで通行人から少額のお金をもらい、生命を維持していくことになった。とはいえ彼女が持つ呪術の才能は確かなものであり、自己流で鍛えていくうちに呪術系の才能が覚醒していった。斬鬼衆にスカウトされたのはこの才能の噂と、元々は牙狩りの末裔との噂が同時に出回っていたためである。
　組織に所属してからは、吸血鬼に対しての殺戮意欲が0で当時はあったため基本的に後方任務に就いており、その過程で人間と多少は関係を築いたことから、若干ではあるが人間性を取り戻しているが、やはり自我は希薄であった。そんな中で出会ったのが今の血盟であり、様々な場所に行ったり色々なことをしたりして、人の７割程度ではあるが、自己というものを確立した。
　
　性格は控えめで頼まれたことは断れなく、自主性がやや薄い。また、全ての物事に対して諦観を覚えており、全ては流れるがままに受け入れるべきであり、抗おうとしてはいけないという考え方が染みついている。吸血鬼に対して憎しみを抱いているが、あくまでこれの対象は人に害をなす存在としてであり、人と共存を望んでいる吸血鬼であれば和解の余地がある。顔を編み笠で隠しているのは自分の顔が嫌いだからであり、特に傷があったりするわけではない。

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