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　王女様が舞踏会で恋に落ちる御伽噺にもなっている逸話でダンスの相手を務めた源祖の吸血鬼。あの時の王女様の美しい目に一目惚れし、ダンスの相手を志願し努めたが、ついにその恋は叶うことはなかった。あの時の失恋が忘れられず、悠久の時を生きる彼は、またあの瞳を持つ者が現れた時、恋人ではなく従者として一生傍にいることを心に誓った。
　夜の街を散歩していたところ、血の匂いがしたため少し様子を見に行くと、倒れ伏した人間の前で誰かが立っている。その人間の絶望し、焦点のあっていないその目は、かつての王女と同じ瞳だった。それから彼女のことを調べるとSID所属らしく、下僕にしてもらうべく押しかけたところ、なんと血盟を結んで頂けた。名は鬼沢というらしい。トロイメライはこれ以上の幸福はない、死んでもいいとさえ思った。死ぬなら従者らしく鬼沢の盾になってからだ。
　央宮と捜査で一度一緒になった時、彼女が何気なく発した「鬼沢さんの力強い瞳、あなたなら任せられる。」という言葉を聞いたその日から、トロイメライはついに人間にも共感してくれる人間を見つけた喜びに震えた。それ以降、央宮を見つけるたびに挨拶と深いお辞儀を行う。