大柄なヒューリンの男と、小柄なフェアリーの母親の間に生まれる。
しかし、彼が幼い頃に、父親がギャンブルで多額の借金を作り、それが原因で両親は離婚。
母親は彼を残して妖精卿へ帰り、父親は借金を残したまま失踪した。
その結果、父親の多額な借金は全て彼一人が背負うこととなり、過酷な生を歩むこととなる。

金を稼ぐには手段を選んでいられず、借主に脅迫され、様々な汚れ仕事にも手を付ける。
特に誘拐や暗殺などは割がよく、気が付けば罪悪感なくこなすようになっていた。
しかしある日、借金元が教会に違法行為で告発され、解体。蜥蜴の尻尾切りのように彼だけが捕まる。
普通であれば厳罰に処されるところを、彼の身の上を知った者が彼の境遇に同情し、
「教会監視のもと、教会直属の冒険者として活動する」という条件付きで厳罰を免れた。

だが、そうして受けた最初の依頼で『運悪く』任務に失敗し、邪神の眷属に囚われてしまう。
そして、その邪神の眷属の『遊び』で酷い拷問を受けるも、彼の精神は崩壊せず、逆に彼らの興味を買う。
その結果、彼の肉体は拷問により壊れるも、彼らの手によって魂だけは生き永らえさせられた。
当時の冒険者としての能力のほとんど全部を、奪われて。

気が付けば、その手には大きな鎌が握られ、自身の顔は黒く塗りつぶされ、
眠れぬ体となって、墓地に一人浮いていた。

さっぱりとした性格。それまでのシビアな生活の影響か、生死感、倫理観はかなり乾いている。
生かす必要があるなら生かすし、殺す必要があるなら殺す。そこに同情も何もない。
例え仲間でも、目的に対立があるなら躊躇なく鎌を振るう。
しかし、できることなら手をあげたくないし殺さずに済むなら殺したくはないとは思っている。

彼は生前の出来事が影響しており、必要がないとわかっていても依頼を受け、金を得ようとしてしまう。
また、その時の依頼料は、「どれだけ報酬量が高いか」ではなく「どれだけ無理して捻出したか」を基準とする。
そのため、小さな子供からの依頼なら、たった数Ｇでも受けることが多い。
そんな様子を見た他のアンデッドからは「案外優しいトコあんじゃん」と冷やかされたらしい。
「………依頼に選り好みがないだけだ」

仕事人としての矜持、プライドがあるのか、一度受けた依頼は、どんな事情があろうとやり遂げようとする。
依頼を達成するためならば手段を選ばないところは、死神らしい、と言えるのかもしれないが。
但し、依頼者本人が嘘をついていたり、隠し事をしていたりした場合は別である。

また、アンデッドとなってから、眠ること、食べることが出来なくなったのが悩みらしい。
そして基本的になにか動いていないと落ち着かない。ワーカホリックなのだ。

それは、墓場でいつものように墓守をし、また迷い込んだ者を出口まで誘導したり、
度胸試し感覚で侵入してきた者を脅かしたりしていた、ある日のことだった。
そんな彼の下に、白虎房の師父がやってきたのである。
当然のように、ウォーデンはその師父を追い返そうとするが、
そこでなんやかんやあって戦闘となり、返り討ちに遭ってしまった。
力を奪われているとはいえ、元暗殺者である彼は、毛頭こんな年寄りに負ける気などなかった。
そんな彼の隠密技術が、師父の眼に適ったらしい。師父は言った。うちで修行をしないかと。
それは、力を奪われ、再びその力を取り戻したいと願う彼には、願ってもいない提案だった。

赤いフードに、二色の赤いクロークを纏っている。
フードの中は常に黒い霧状の闇で覆われており、仮にフードを脱がせたとしても、ランタンなどで彼の顔を照らしても、その素顔を見ることは叶わない。手を顔に当てると、その手も黒い霧に包まれて見えなくなるが、彼の冷たい肌を触ることはできるだろう。そんな彼の顔にはデフォルメのような瞳がぼうっと浮かび上がり、それが彼の表情を示す。
赤いクロークは生前から身につけていたもので、特定の住居を持たない彼の唯一の防寒具でもある。そんな長い期間身につけていたものなのでボロボロになっている。が、ほつれたり破れたりしたところは、彼が丁寧に修繕しているのだ。
クロークの背中部分には、大きな紋様が描かれている。中央の棒状のものと内側の半円は死神の鎌を、外側の半円はその斬撃波を表す。