【アルカナム：アーケンラーヴ】×２
レガシーアクション。使用者が行う武器攻撃のダメージ＋２D。シーン持続
《逆位置：判定直後。使用者が行う武器を使用した命中判定を振りなおす》
【アルカナム：ディジニ】
レガシーアクション。20m以内の単体が行う武器攻撃のダメージを〈風〉属性の魔法ダメージに変更。ラウンド持続
《逆位置：レガシーアクション。20m以内の単体が飛行状態の場合、その飛行状態を解除しスリップを与える》
【アルカナム：マライカ】×２
レガシーアクション。20m以内の単体が行う武器攻撃のダメージを〈光〉属性の魔法ダメージに変更。ラウンド持続
《逆位置：レガシーアクション。20m以内の単体の【魔法防御力】ー５（最低０）。ラウンド持続》
【アルカナム：シームルグ】×２
レガシーアクション。使用者が行う武器攻撃の命中判定に＋２D。メインプロセス終了まで
《逆位置：判定直前。回避判定＋１D》
【アルカナム：アラクネ】×２
判定直前。20m以内の単体が行う攻撃の命中判定ー１D
《逆位置：レガシーアクション。使用者が行う攻撃で対象に1点でもHPダメージを与えた場合、縛鎖を与える。メインプロセス終了まで》
【アルカナム：アエマ】×２
レガシーアクション。20m以内の単体にHP回復を行う。対象のHPを[3D＋使用者のCL×３]点回復する。
《逆位置：DR直後。20m以内の単体が受けるダメージー10》
【アルカナム：グランアイン】×２
レガシーアクション。20m以内の単体が行う攻撃のダメージ+5。シーン終了まで
《逆位置：DR直前。20ｍ以内の単体が行う攻撃のダメージ+10》

名前：ザイン
年齢：？（外見年齢17）
性別：♂
種族：ヴァーナ/猫族
クラス：シーフ/フォーチュネイト
戦闘スタイル：仕掛け武器を括り付けた布で器用に扱いながら戦う。面白がるように戦闘中に懐のカードを弄っては、一喜一憂している。
武器：襤褸にも見える夜闇のような帆布と、長剣にもなる珍しい機構の短剣

《外見》
身長：180cm
体型：細身
瞳の色：銀　光の当たり方によって色が変わる
髪の色：白髪混じりの黒髪
髪型：癖毛
肌の色：彩度の低い肌色
服装：丈の長い上着の下に武器やバッグを隠し持っている。全体的に闇に紛れるようなその服装の中で、腕輪だけが浮いている。

《内面》
性格：人見知り、臆病、煩い
一人称：僕/俺が基本だが、流動的
二人称：君
好きな事、もの：正義、バロー、ギルドの仲間たち
嫌いな事、もの：痛いこと、怖いこと
イメージカラー：フローライト

「正義は勝つ！―――なら、絶対的悪の俺に負けるようじゃ、君は悪を名乗るにも程遠い！なあ、僕に正義を見せてくれよ！」
牢獄で監守にびくびくと怯えてみては、次の日には隣の囚人とカードゲームに勤しむ。金目の物を奪って即換金しては、それで全額パンを買ってスラムにばら撒いてしまう―――掴みどころのない、ヴァーナの青年。
本人評は「人見知りで臆病で絶対的悪」。普通に国に逆らったら殺されるので仕方なしに冒険の旅に出ることになった情けない奴。

親の顔なんか覚えていない。多分、戦火にでも巻き込まれたんだろう―――でなきゃ、何もない荒野、瘴気に呑まれる一歩手前でバローに助けられるなんて情けない事態にはならない！
泥塗れの猫を拾ったバロー率いる旅一座―――メルクリウス座から、彼は何もかもをもらった。言葉、食事、冒険者としての生き方、そして、伝承の旧いシーフからとった”ザイン”という名前。
人見知りで臆病。打てば鳴る玩具のようにオーバーリアクションをするものだから、いつも座のメンバーからは揶揄われていた。だが、そんな彼に、バローは持てるスキルのすべてを叩き込んだ。・・・怖い、痛い、俺には無理だよ、なんて言いながらも、彼は―――「やめる」とだけは言わなかった。

彼は、託される者だった。
流浪の旅一座だ。旅の途中で抜けていく者も、一時の出会いと別れもある。
彼は、そんな旅路で様々なものを託された。
一番美人の踊り子から、その華麗な足運びを。いつか誰かと踊りたくなる日のために、と。
髭が足元にまで達する占い師の翁から、運命を操るカードを。自分はもう必要ないが、戦う君には必要だろう、と。
立ち寄った街の路地裏に棲む無口な鍛冶師から、ディアン作の剣を。アンタになら扱えそうだ、と。
公演を見に来ていたローブの人物から、夜闇に紛れるような漆黒の帆布を。誰にも知られてはいけないよ、と。
一座の中には、どうして彼にそこまで、と疑問に思うメンバーもいた。彼自身も実際にそう思っていたし、何も言えなかった。
託されたものだらけで自室がにぎやかになり始めた時、彼はバローに尋ねた。どうして、と。
嫌なのか、とバローは聞き返した。そんなわけない。急いで首を振った。バローは笑って、そうか、とだけ返した。
―――噺は、それきりだった。

そんな噺をして、すぐのことだった。
魔物との戦いの最中。バローは彼を庇って、消息を絶った。

一座のメンバーは―――特に、彼がなにかと目を掛けられていたことに嫉妬していたメンバーは―――彼を責め立てた。
お前の所為だ、お前がいなければ。お前が強ければ。―――お前が、代わりに、死んでいれば。
彼は、唯一の居場所から追放された。

解らなくなった。
ぐるぐると渦巻くのは嫌悪。疑問。不安。黒くて、大きくて、悍ましい何か。
すべてをもらった人がいなくなった。すべてをもらった場所が、何があっても護りたいと思っていた場所が―――そこから、いらないと捨てられた。
お前がいなければ、よかったのだ。

何が正しかったのか、間違いだったのか、解らなくなった。
当所もなく歩いては、街を襲う魔獣を倒し、感謝された。腹が減ったから果実を盗み、そこの主から追いまわされて死ぬ気の追いかけっこをした。お腹が空いては何度も盗みを働いて、それを何故か飢えた野良犬や孤児に分け与えた。思い切ってとある村の伝承の剣を盗んで、次の日の明朝元通りの場所に戻した。

何が、正しかったんだろう。
どうすれば、正しくなれたんだろう。
盗みは悪だ。解っている。なのに止められない。理由も分からない。盗む獲物だけエスカレートしていく。

そんな中、フラウシア王国が誇る国宝・精霊の腕輪のパンフレットを見掛け―――これを盗んじゃおうかと思い至る。
前日の夕方の思い付きを当日の深夜に決行し、軽い身のこなしで警備を潜り抜け、腕輪に指先が触れる―――


「あなたのその力は、もっと正しいことに使われるべきです」


声がした。
視界が暗くなっていく。

正しいこと。
正しいこと。

正しさ、って、なんだっけ。
正義って、どこだっけ。

あれ、でも、俺って、悪いやつなんじゃ、―――


―――ああ、そうか！
僕は悪だ。バローの命を奪い、あの一座をめちゃくちゃにして、数々の盗みを働いた大悪党！
なら、俺に勝つ奴が全部正義だ！
昏い瞳で、彼は堕ち行く意識の中、口角を吊り上げる。
いつか出会う、正義を、その煌めきを夢見て。

正しいこと。
解らなかったから、「勝ち負け」という単純な定規でしか測れなかった。否、測らなかった。
「正義”バロー”」が教えてくれた技術で、彼の大切な居場所を壊し、その上「悪”盗み”」を働いてしまった自分は、「絶対的悪」として定めて。あとは、全部、そのあやふやな定規でなんとなく測った。
それで出会えた”ゆかいな仲間たち”は、幸いにも「いいひと」たちで、彼はあやふやなまま日々を過ごした。

―――それが崩れたのは、バローの帰還によるものだった。

解らなくなった。
本気のバローと対峙したのは、初めてだった。
バローが生きていてくれて嬉しいのに、「正義”バロー”」の傍にはもう行けない。
負けてしまえば、仲間たちは「悪」になってしまう。
「正しいこと”仲間たち”」がいなくなってしまう。
痛い。怖い。
バローは本気で俺を撃てるのだ。それが怖くて、痛くてたまらない。
暗い森は怖い。また誰かがここでいなくなる。僕の所為で。俺が役に立たない所為で。

―――いっそのこと、あの時、手を取らなければよかったのか？
差し伸べられた手を払いのけて、そうすれば、バローも、みんなも、正しいままでいられた？

どうすればよかったんだ、
どうすればいいんだ、

ぐるぐる回る思考の中で、纏まらない言葉を、ただ、みっともなく縋って、吐くことしかできなかった。

情けなくそうしていたら、なぜか、また生き残った。
もう何が正しいのか、間違っているのか、どうしたらいいのかもわからなくて、ただ、痛いのも怖いのももう嫌で、混乱する頭の中に、すとんと言葉が落ちてくる。
―――「この世界の人は、みんな悪人だ」と。

そうなんだろうか。
反論できる理由も持っていない。解らない。でも、腑には、落ちた。
みんな、悪いことをしているんだろうか。
それじゃあ、悪くても、此処にいてもいいんだろうか。

リンゴ畑に意気揚々と駆け出していく我らがギルドマスターを追いかけながら、ふと考える。
―――そういえば、バローにおかえりを言ってなかった。