ゆうくんが日記をつけているのを発見したので、こっそり逆側から書くことにした。
　結希ちゃんがなんだかんだした影響で、私たちは異世界で生きることとなってしまった。最初はゆうくんと二人三脚で生きていくんだ！って意気込んでいたけど、少ししたらすぐにこの世界が嫌になってしまった。

　冒険者になるために神殿に向かい、そこで試験を受けることになってしまった。最初は順調だったが、試験官が「本気を出すから耐えろ」って言ったとき、私は嫌な予感がした。前で戦うゆうくんが、酷く傷ついてしまいそうな気がした。そして、その予感は的中することになってしまった。
　ゆうくんは、試験官の攻撃の時……避けるどころか前に出たのだ。まるで誰かの壁になれたら良いと言わんばかりの無茶な行動。そして多分、ゆうくんの想定通りのこととなった。ゆうくんはその攻撃をもろに喰らって気絶。それに庇われた形になったメルダさんも驚いた顔をしていた。

　その瞬間、私の中で何かが切れた。向こうでもゆうくんは無茶する人だったけど、この世界に来てからそれが悪化しているような気がする。
　それに比べて、私は向こうにいた時と変わらず無力……いや、向こうで使えた魔術が使えなくなっているから、弱くなってしまったといっても過言ではない。ゆうくんを危険に晒すこの世界に……そしてそれ以上に、そんなゆうくんを支えきれない私自身に、とてつもなく腹が立った。

　なので、私も出来ることを少しずつ行うことにした。この世界で私が唯一使えるミラーリングアイスの研究、素の私の体力面の増強………やることはまだまだ多い。
　もっと、頑張らなきゃ。


ーーー追記ーーー
　あれから、私は酷く臆病になってしまったみたいだ。ゆうくんと離れると、少しずつ心臓の鼓動が速くなっていって、冷や汗が出る。呼吸が速くなり、心が不安でいっぱいになる。
　怖い。目を離した隙に、ゆうくんがどこかでまた無茶をして………知らない間に、死んでしまいそうで。
　私は、(ここから先は文字がグチャグチャと書かれており、読むことが出来ない)