彼女の名前はスラップ！
里で一番、他人を笑わせることに自信がある明るく賑やかな妖精！
無口な相棒のスティックと一緒に、毎日隠れ里で楽しく大騒ぎ！
さあ、今日はどんなオドロキの出来事が彼女たちを待ち受けているかな！？

（ここで前奏）

🎵スラップとスティックはだいしんゆー🎵
🎵ぼーうけんーだよアードベンチャータ

（ここで放送打ち切り）

どこからやってきたのか謎なやかましく姦しいピクシー、それがスラップである。
異常に自由な表情を持ち、常にひょうきんな態度を崩さない。
誰かを笑わせることを生き甲斐としており、日々里を賑やかし、冷やかしながら生きている。

スティックはスラップに曰く、彼女の「マブダチ」であるヴァルキリー。
極めて無口で、誰も喋っているところを見たことがない。

有識者によれば、二人の間にあるものは風の時代に失伝した古の〝契約〟である。
旧時代に人が用いていた契約を妖精が自ら用いるという、稀覯に珍奇を重ねたような特例。
魔術的にはたいそうな研究対象なのだが、スラップはといえば今日もスティックと一緒にオモシロイ冒険を探すばかり。
学会を揺るがすよりも、今そこにいる誰かを抱腹絶倒させることだけが彼女の興味の対象なのである。
できているかどうかはさておき。

「あのさ」
「なーに、またスラップちゃんが爆発したの？」
「いや、それもそうなんだけどさ。ずっと思ってたんだけど……スラップちゃんって、前からあんなんだっけ？」
「前っていつー？ 昨日、おととい、それとも10年前ー？」
「よく思い出せないんだけどさー……昔はなんていうか、もっと普通だったような……画風が……」
「画風ってなに……？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　——とある妖精たちの会話