聖都ディアスロンドに所属する神殿騎士。
彼女は騎士隊長として任命される程の実力であるが少々天然な所があり、これは亡き師匠と慕う人物によって育てられた事に由来する。
師匠は神殿騎士の隊長として、数多の騎士の頂点に立っていた人物でありながらも色を好んでいて、特に容姿が整った女性を好んでいた……らしい。
性格も変人と呼ばれるほどに変わっており、アスラもその所は認めている。

孤児として彷徨っていたアスラを引取り、騎士として立派に育て上げてくれたのだが当人曰く
「容姿が整っていたから美人になると確信していた。清廉潔白に育った所をいただこうと思っていた」
という事らしい。……いただくってどういう意味だ？ 師匠の言葉は時折意味がわからない。

しかし、そんな師匠もとある日の魔物討伐任務から帰ってくることはなかった。
騎士として生きる事しか知らないアスラは、そのまま師匠の穴を埋める形で神殿騎士として務めることになる。

しかし、突如失われた師匠が空けた心の穴はアスラを静かに苦しめることになる。
自分以外に誰もいない家。師匠は料理が得意だったが、拙は料理を習わなかった。
静かだが人肌のない寒いベッド。朝起きても眼前には誰もいない。

天涯孤独としてずっと孤独だったアスラ。
唯一の家族であった師匠を失ったアスラ。
人肌を知ってしまった後の寒さというものは堪えるものだ。
良くも悪くもアスラ・エーデルという少女は熱に飢えている。
アスラは伴侶という意味を上手く理解できていないまま、家族という繋がりを求めているのだ。

戦闘時のスタイルは味方を守る盾となり、敵を殲滅する槍となる攻防一体な使い分けを行なう。
苦しむ味方を颯爽と助け、血を求めて敵陣へと突撃していく。
随分と極端であるが、それが今のアスラ・エーデルという少女の在り方を表現している。