「私は花舞 雫。シズクって呼んでほしいのだ！」

現代日本とは名ばかりの、なんちゃって日本モドキから転生してきた大和撫子(自称)。
学園では能力バトルが行われ、校舎裏に秘密結社のアジトがあるような世界線だが、国名が日本だったので間違いなく日本人。
他のアーシアンと前世を語りあう際、なぜか毎回話が嚙み合わない。

「か、体がないのだ～～！！！」

前世は"白波護剣流"と呼ばれる流派の跡取りで、幼少期から剣術を嗜んでいた。
白波護剣流は、門下生が雫一人しかいない超マイナー流派。
雫は師範である父から、白波護剣流の後継者となり、流派を再興するよう命じられ、また期待されていた。
しかし、学園と秘密結社の抗争に巻き込まれ、最終的に流派は壊滅、雫もそこで命を落とした。

そして、次に目を覚ました時、雫はエリンディルにいた。
何がどうしてそうなったのか、まったく理解できないが、事実として異世界に転生していた。
……ただし、幽霊として。
元の世界への帰り方もわからず、帰ったところで自分は既に死んでいる。
当然、流派の再興は不可能。
こうして、雫は失意の中での放浪生活を余儀なくされた。

「白波護剣流こそがサイキョーの流派なのだ、それを証明してやるのだ！」

エリンディルへの転生後すぐ、雫はとある冒険者からロンフーシャンの噂を聞いた。
もし大師父の元で武勲をあげれば、この世界で白波護剣流を再興できるかもしれない。
早速ロンフーシャン近郊の酒場を訪ねるも、門下生はおろか観光客相手ですら手も足も出ず敗北。
そもそも幽霊の体では、まともに武器を持つことすらできなかった。

この現実を重く受け止めた雫は、前世の知識と今世の技術を総動員し、実用に耐える肉体の獲得を目指した。
精神力を魔力に変換し、霊体を実体として出力、それを絡繰で繋ぎ止め安定化させる。
この無茶な試行錯誤の結果、雫は絡繰幽霊人間として存在を確立した。

その後、雫は再びロンフーシャンに向かい、その実力で見事門下生に選ばれたのでした。
めでたしめでたし。

「いや、まだ流派の布教すらできてないのだ、これで終わらないで欲しいのだ～～！！！」

出身は現代日本とあるが、事実は少々異なる。

花舞 雫は、エリンディル在住の転生者たちが開発したスマートフォン用ゲームアプリ『超常学園～ニッポンアドベンチャー～』のキャラクターである。
このゲームはマイナーながら、スマートフォンを持つ一部アーシアンの中でカルト的な人気を誇っていた。
何せ、エリンディルにおいて故郷を懐かしむ機会は非常に限られているのだ。
例え内容がトンデモすぎる駄作でも、ガチャの闇に貴重な冒険資金を巻き上げられるとしても、そこには確かにニーズがあった。
しかし、花舞 雫というキャラクターの存在は誰にも知られていない。
それもそのはず、雫は今後のアップデートで実装予定の新キャラクターなのだ。

ただし、このアプリが更新されることはもう二度とない。
開発チームの転生者が妖魔の襲撃で戦死し、サービスの継続が不可能になったからだ。
既にサービス終了も決まっており、保守チームだけが後処理を行っている状態。
この時点で、雫の実装予定はなくなり、事実上の没データとなった。

世に出ることすら叶わず、存在を抹消されるはずだった雫は、しかし今アーシアンとしてエリンディルにいる。
これが単なる偶然なのか、あるいは神の慈悲なのか、それは誰にもわからない。
しかし、そう遠くない未来に、雫はこの現実と向き合うことになるだろう。

伝承武具：革鎧（～ベスト）
Choiceで作成(予定)

装備部位：胴部
重量：5(+2=7)
回避修正：0
物理防御力：CL+4
魔法防御力：0
移動修正：-1

継承：勝利（ビクトリー）
　効果：重量に+2、【器用】に+1
伝承：達人の武具（マスター）
　効果：1シーンに1回、装備者の命中判定を振りなおす。特徴追加。
特徴：複製品
宿命：真実

◆ムーブ◆《闇祓いの腕輪》クラスアイテム：装備者が行う攻撃のダメージに+【精神】、メインプロセス終了まで持続/自動成功/自身/-/条件：≪セイクリッドダンス≫効果中/カンナギ/シナリオ3回