容姿・経歴・その他メモ

亡国の姫であり、補助魔法使い。
かつてエリンディル西方の最西端に位置した『ヴァルグリア王国』の正統な姫君。
ヴァルグリア王国はその立地から漁業が盛んで、景観の綺麗な水の都と呼ばれる国だった。
国全体としても文化的で、何よりあらゆる種族が平和に暮らす多様性が特徴の平和な国で、政治は国民を思ったもので、争いを絶対に起こさないという姿勢が他国からも評価されていた。
その分国全体は他国に比べると貧しかったが、そのことに不満を待つ国民は一人としていなかっただろう。

そんな国の姫として生まれたのがアイギスだ。
彼女は平和な環境で愛情を知り、責任感を強く持ち、回復や補助などの魔法に優れた才能を見せ、優しい少女として幼少期を過ごす。
そんな中、8つになるころに一人の騎士を近衛兵として与えられる。
自分と年が離れており、種族や性格など様々な部分が大きく違った彼に最初こそ警戒をしていたが、長く付き合う内にその騎士を誰よりも信頼できる、兄のような相手と認識するようになった。
今でもそんな彼のことを夢に見て、涙することさえもある。
そんな信頼できる相手にも恵まれ、才能を持ち、正しく善き姫として成長を続けていた15歳の頃、人生の転機を迎える。
それは彼女にとっては人生の全てを反転させるほど大きく、凄惨なものだった。
それは聖暦999年に行った、神聖ヴァンスター帝国によるエリンディル侵攻である。

神聖ヴァンスター帝国によるパリス同盟との戦いの歴史では、被害国はなく、7国による徹底抗戦が語られているが、そこには語られていない歴史がある。
神聖ヴァンスター帝国がパリス領侵攻を開始した際に最初に標的に選んだのは、ヴァルグリア王国だった。
ヴァルグリア王国は当然侵攻当初は徹底して戦争の意思がないことを主張したが神聖ヴァンスター帝国による攻撃が止まることはなく、一方的に侵攻されるだけだった。
それにより自国だけでは手に負えなくなり、近隣諸国に援助要請を行うが、近隣諸国の後にパリス同盟と呼ばれる7国はヴァルグリア王国を身代わりにし、時間を稼いで自分たちの国を守ることを考え、援助を行うことはなかった。
パリス同盟領の国々はヴァルグリア王国を犠牲にすることで、パリス同盟を結び神聖ヴァンスター帝国の侵攻を抑え込んだのだ。
結果として武力を持たないヴァルグリア王国が自国の僅かな戦力だけで対抗できる筈もなく、侵攻を受けながらも停戦の意思を主張し続けたが、その甲斐も虚しく、首都陥落、王族鏖殺の後に滅亡する。
しかし、国の姫であるアイギスだけは戦乱が起きるその前に国外へ逃走することに成功していた。
国王一族は大規模な戦争が予測された段階で、同盟諸国に姫であるアイギスを預けるためにいち早く王国から離脱させていた。
それが功を奏し、なんとか国外への逃亡は成功するが、神聖ヴァンスター帝国の策はそこまで容易いものではなかったのだ。

神聖ヴァンスター帝国は侵攻を始める遥か前から王国の包囲を開始していた。
まだ作戦開始段階だったため、アイギスが遭遇したのは斥候や尖兵程度の規模の軍隊だったが、アイギスを護送していた兵士だけでは圧倒的に数不足だった。
それでも兵たちは応戦を続けるが、結果は揺るがぬものだった。
当然のように兵は蹂躙され、アイギスはそこで死ぬはずだっただろう。
しかし、近衛兵の青年は最期まで諦めることなくアイギスを守り、彼女は青年の犠牲を持ってして、まさしく奇跡的な逃亡を果たす。
しかし、彼女が一夜にして失ったものは大きい。
彼女は家族、友人、居場所、その全てを失い、また未来への展望さえ見失っていただろう。
そのまま近隣の同盟諸国へ辿り着き、神殿で少しの間生活していたが、アイギスは心優しく、簡単に折れる人間ではなかった。
少しの思案の後、彼女は王国の復興を考える。
そのためにも、それを手伝ってくれる人材と、そのための資金集めのために自身の培ってきた知識と才能を生かして冒険者稼業を行うことにした。
幸いにも適正は高く、彼女にはまさしく天職だっただろう。
その過程で戦闘についても学び、短剣程度であれば使いこなせるようになっていた。
そうして、10年近くの月日を過ごしたその後、信頼できる仲間を見つけて一つのギルドに所属する。
ギルドのメンバーには自身の素性は明かさず、名前もファーストネームしか明かしていない。
それはこれまでの冒険者人生で自身の素性がリスクにしかなり得ないことを、経験によって理解しているからだ。
それでも、メンバーに対して十分に信頼しており、一緒に行動することで自身の目標に近づくことができると考えている。
メンバーの1人に謎の親近感を覚えているが、理由は自分でも理解していない。

ヒューリンとエルダナーンのハーフ。
自分でもこれはヴァルグリア王国の国民性が現れた、自身の誇れる長所だと考えている。
性格は温厚で、優しく、よく周りに気配りをしている。
基本的に丁寧に相手と接するため、あまり交渉や冒険者としての騙し合いなどは得意とはしていない。
ただ、様々な物事に対する知識を豊富に持っているため、交渉の際に知識を活用してサポートなどはしている。
見た目は重装などは避けて、軽く薄い動きやすい物を好むため、ローブなどを着ていることが多い。
また、常に仮面を着けており人前で絶対に外すことはしない。
そのため、ギルドメンバーでも素顔を知る相手はいない。
戦闘面では攻撃は滅多に行わず、補助呪文や回復呪文をベースに戦う。
念のため短剣を2本所持してはいるものの、自分の元に近づいてきた相手にしか使うことはない。

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