伝承に聞くチキュウと呼ばれる異世界からやってきた少年。まだ若いのにしっかりしている。
　慣れない環境下にありながら、冒険者としての役割とギルドマスターとしての役目を全うしようとしている努力が見られる。
　まだこちらの世界に来てから大した期間は経っていないが、こちらの環境に適応しつつある。チキュウにはいないはずの妖魔や魔獣を見ても動揺は少なく、時にその性質を知っているように動く。そのことについて尋ねてみたところ、なんでもサトウなる賢者がナグラがまだチキュウにいたころに妖魔や魔獣、更には魔法についても語っていたという、チキュウにもこちらの知識は伝わっているのかもしれない。
　ナグラは何時かはチキュウに帰ることを望んでいる。私としても何か手がかりを見つけてやりたいが、今はまだ焦る時ではない。ナグラ本人の名声を高め、協力者を増やす時期にある。しかし、ナグラはまだ若い。焦って暴走しないよう見守ることも今の私ができることだろう。

　まだまだ未熟なフィルボルの少女。調子に乗りがちなところが玉に瑕だが、シーフとしての実力は順調に伸ばしている。
　特筆すべきは、その回避技術の高さだろう。本人の臆病がちな性質と相まって、致命的な攻撃を受けないように立ち回る技術に長けている。また多対一の立ち回りも上手く、敵の連携の隙間を縫って短剣を当てることができるという点が評価できる。
　最近、髪色について気にしていることが判明した。白く珍しい髪色だとは思っていたが話題にするときは気を付けた方が良いだろう。また同時に髪色について相手の挑発に乗ってしまうなど、やはりまだまだ精神面に未熟さを残している。その方面に関しての成長はこれからの経験に期待している。

　芸人気質なおしゃべり蛇（竜）。私の知識をもってして、未だかつて見たことのない不思議な生き物だ。見世物小屋で働いていただけあって、対人能力は非常に高い。どんな相手にも物怖じせず話しかけることができるし、相手の懐に入り込むのも早い。
　また戦闘能力も目を見張るものがある。もともとの身体能力が高いのか白兵戦に長けており、その尾での一撃は重く、敵の体力を大幅に削りとる。しかもそれだけではなく、口から竜が吐くとされる息吹（ブレス）と似たような気弾を放つこともできる。接近戦と遠距離戦、どちらにもスキがない。
　しかしその反面、体力を大きく消耗するのか、大食らいな一面もあるようだ。
　驚くべきことに、人間形態に変身する能力を修得したらしい。髭面の大男から、小さな子供まで変身できる幅は広いようだ。一部の野生生物が持つ疑似餌のような役割を果たす形態なのかもしれない。