戦乱の大陸にて、一つの噂話があった。
　平和を望む者、戦いに疲れた者、静寂を願う者を受け入れる小さな里があるらしい。
　その里は神竜王の加護に守られており、戦乱の争いに巻き込まれる事はない。
　様々な種族と共存する穏やかな平和に満ちた場所であった。

　―――聖暦1009年10月9日に事件が起きる。
　その事件の影響は大陸全土に被害が生まれ、様々な災厄が降り注いだ。
　戦乱の大陸は神竜王の祝福を失い、争いの渦はより混迷の色に満ちていくのであった。

　大陸を襲う災厄は小さい里にも訪れた。
　戦乱から離れた場所故に戦える者はおらず、里は為す術もなく災厄に呑まれた。
　残ったのは災厄の象徴。　―――1人の呪われた"魔"だけだった。

　神竜王の加護に守られた小さな里で生まれた少女。
　心優しい穏やかな性格をしており、小さい教会に一人で暮らしていた。
　生まれた時から神竜王の声を聞き、彼女の素質もあったのか使徒の才覚を伸ばしていく。
　信仰深い日々を過ごし、成長した後は里の聖職者として人々を導いていた。
　
　そんな平和な日々を過ごす中、一つの信託が下る。
「大陸に平和な未来が訪れるだろう」　神竜王の言葉に里の皆も喜び、彼女も喜んだ。
　だが、訪れた未来は――、…里に"魔"が侵攻してきた、という現実であった。
　平和を望んでいた自分達には戦う力はない。 "魔"の軍勢は里を蹂躙し、人々の命を奪った。
　信託は一体…、里の皆がどうして…。　ただ悲鳴と殺戮が広がる光景に絶望し、彼女の心が壊れた。
　…――そして、何もかも失った後、一人の"魔"が目覚めた。

　目覚めた後、彼女は宛もなく大陸を彷徨う。
　奇跡か偶然か、行き倒れた所を教会に保護される。
　しかし、魔の因子を得ている事から教会は彼女の対処をどうするか考えていた。
　結果。　彼女が持つ高い使徒の才覚を見込み、"魔"を処刑する"処罰者"という役割を与える事とした。
　以降、彼女は"処罰者"の役割を遂行する為に各地に出没する"魔"を処罰を執行する日々を遂行している。
　
　余談だが、魔の因子を得た後、彼女の自我は消失し、別の自我を得ている。
　この為に現在の名前――サナトスは神殿に与えられた名前であり"死"の意味を持つ。
　元の名前は"ティエラ"であり、ふとした時にサナトスの脳裏に姿が過ぎる事もあったりする。

独特な会話…基本的に感情と伝達内容が主な内容。（一文字目は感情、二文字目は伝達内容）
・親しい相手と久しぶりに会った時は「喜久。　お久しぶりです」
・真面目な仕事の際は「真務。　…今回の依頼の説明をお願いします。」
・幸せを喜んでいる時は「歓象。　この時間が続くと良いですね。」
・敵に憎悪を向ける時は「憤罰。　あなたを許す事はできません。」
・悲しい事があった時は「哀悔。　…私の力が至らなかった、それだけです。」
・のんびりしている時は「悠暮。　少し陽に当たっていただけです。」　などが挙げられる。

感情に変化がない場合は、特殊な二文字は入れずにそのまま会話を続ける。
・「真務。　…今回の依頼の説明をお願いします。」→「問題ありません。　説明を続けて下さい。」
あと、面倒な時は二文字を無理に入れなくてもOK（それだけ余裕がないとも言える）