容姿・経歴・その他メモ

キオン・グライセ
アルディオン大陸東部出身。
メルトランド王国の三名家に名を連ねるクリード家に忠誠を誓った小領主・グライセ家の長男として生まれる。

クリード家は、長い戦役の中でアガルタ公国に奪われた旧メルトランド・リド＝エマルム地方の復帰を悲願としていた。
特に現当主は、宗主国であるフェリタニア合衆国の後ろ盾を得た上で戦によって取り戻すことを主張する、所謂"フェリタニア派"の急先鋒である。
キオンの父であるグライセ伯はその主張にやはり賛同しており、キオン自身も騎士としてクリード公の元で戦うのが幼少期からの夢だった。

しかし、宗主国フェリタニアは一つの触れを出す。
"今後、数年に渡り積極的な軍拡は禁ずる。得難い平和の元、まずは民の生活の復興から着手せよ"。
当然クリード家もその煽りを受け、軍縮を余儀なくされてしまう。
そこでクリード公は、「学術分野を発展させる体で魔術研究を進め、８００年前のように魔法を軍事転用・兵器化すれば、アガルタを瞬時に制圧し、ゆくゆくはフェリタニアからも独立できるのではないか」と考えた。
彼の思いつきから、クリード家に連なる家の嫡子達の多くを隣国の「シェルドニアン学園」へ留学させることが決定する。
同時に、アガルタ公国との戦の中で名を立てようとしていた多くの青年らの夢は突然にして断たれることになるのだった。

キオン・グライセもまた、その中の一人である。
彼は学園へと留学することになった際、父に反発し暴れ回るほどの不満を抱えていた。
彼は入学してから一年ほどは講義にも真面目に出席していたが、日が経つに連れ段々と生活が荒れていく。

悪友との付き合い、無断欠席、娼館、酒。
キオンはそれらに迎合した末、ろくに講義に出席しなくなる。
さらに昼はキャンパス内で酒を呑み、夜はパーランドの城下町の娼館を渡り歩く、クソ学生の雛形のような存在となってしまっていた。

それを憂いた彼を監督する教授は、一計を案じる。
「キオン・グライセは仕送りを娼館巡りに浪費した挙げ句、無断欠席が嵩んだ結果単位の保持数も危うくなっており、退学の危機に貧している」という事実の羅列を手紙に認め、父であるグライセ伯へと送ったのである。

それからのキオンの日々は苦難の連続であった。
己が齎し、放置していた負債と向かい合う瞬間がついに訪れたからだ。
彼は必死の形相で机に向かい、レポートや論文と戦う羽目になった。
少ない知恵を振り絞り多くの課題をこなす中で、フル単が如何に苦しさの伴う大業であるかを彼は心に刻んだ。

そして最終的には、残り一週間の内に「アルディオン東部に幾ばくか眠る、未知なる呪文・術式に関する研究論文を提出せよ」なる、フィールドワークを介すことを条件付けされた課題を一つ仕上げれば進級、という所までたどり着いた。

キオンは悲痛な面持ちで学生寮を出立する。
彼は確信していた。己の頭では受講者の８割を「不可」にしたという噂のあるイカれた教授の元で単位を獲得できる可能性は限りなくゼロに近いと。

一方で、一握りの希望をも抱いていた。フィールドワークの中で「本物の古代呪文」を発見し、クリード公の願いも叶えれば、卒業を待たずにクリード家の筆頭騎士に取り立てられ、戦で首級を挙げ、立身出世するのも夢ではない。父親も自分を認めてくれるだろう。
学園と教授、そして単位に唾を吐きかけ、悠々と故郷へ凱旋することが出来るのではないか。
彼の足取りはだんだんと軽くなってゆき、教授から借り受けたゴーレムである「エクスマキナ」という人型の鉄塊と港町で合流し、見知らぬ海域を探索する船に乗るのだった。


性格
・根本的にグレている
・戦うのが好き
・一年の前期は真面目だったので魔法は多少使える
・落単が決まって絶望しているが、島に何かしらの呪文が眠っていれば逆転できるかもしれない……と思い直す

セッション履歴

収支履歴