容姿・経歴・その他メモ

レコア・アイオライト　種族:ヒューリン(24～34)
街で医者をやっているヒューリンの女性。特に、ネヴァーフが作った機械義肢による欠損部位の修復を専門とし、
その手腕により救われた人は多い。
ある日、薬の為に薬草を取りに森に繰り出したところ、左半身を失って倒れているバスタッドを発見。まだ生きていた事に驚愕しながらも連れ帰った。
その後バスタッドの生命力とその過去に興味を持ち、彼に左半身の機械化を施した。

風の時代からの生き残り、その遺恨

神々への恐怖に囚われ、ほとんど全てのエルダが邪神を信仰し、各地で争いを起こしていた時代に僕は生まれた。
父と母は僕が物心つく前からとても有名なエルダだった。
敵対していたエルダ数百人に街を襲われた際に、最前線に立って戦い、たった一人でこれを退けて以降英雄と呼ばれるようになった。父と母はとても勇敢な人物だった。
邪神の存在に気づいてからは真っ向から反対意識を持ち、これを作らせないように動いていた活動家になった。
だがいつしか気づけば周りには味方は一人も居なくなって、代わりに邪神を信仰してやまない狂信者たちによって
居場所を追われる羽目になってしまった。
それでも父と母はエルダの心に光がまだあると信じて、同じような境遇の人を集めて戦争に介入し、停戦を何度も申し出た。
だが自分の思想に狂い邪神に逆に支配されてしまった奴らにはそんな世迷言が通用するわけもなく、遂には
邪神教徒の怒りを買ってしまい、ある時、ふたりは僕の家の前で私刑にされ、狂信者たちの火魔術によって焼き殺された。
その時の狂信者たちの高笑いと母を慰み物にして弄んでいた光景は今も脳裏に焼き付いて離れない。
僕は感情がぐちゃぐちゃになったまま無謀とも知らず狂信者たちに立ち向かおうとしたその瞬間、全てが光に包まれて
何もかも無くなった。
あの狂信者たちも、灰になった父と母も、僕も、武器も、建物も、人も。全てが光になった。

現代

何の奇跡か、俺は生きていた。但し、目覚めは最悪だった。
隣に知らない女がいた。俺は寝具の上で寝かせられている形で話を聞いた。
近くの森で倒れていたところを見つけ、その時には左半身が無くなっていたらしい。
その真偽はすぐに分かった。綺麗に左の半分が切り取られていてしっかりと自分の生命を動かしている
臓物がまざまざと見えて鼓動が速くなった。
恐怖に苛まれて過呼吸を起こしながら意識が薄れゆく中で女が叫んだ言葉は今でも忘れてない。
「死ぬなら今じゃないだろ、頑張れよ」
俺は安堵したのか、ゆっくりと瞼を閉じた...


次に目を覚ました時には隣にもう一人寝ていた。
正確には"0.5人"。
「今君が五体満足になるには体半分を機械化するしかない。でもそうすると君の右半身が砕けてここで
死ぬかもしれない確率が九割くらい。完全に制御できるのは一割くらい。」
「それでもやる？」
女は試すような話し方をしつつも真剣な目で問いかけた。俺の返事はひとつしかなかった。
「...奇跡」
「ん？」
「奇跡が起きるのを信じろって事だろ。今死ぬか向こうウン百年後に死ぬかなんて今の俺には対して変わりゃしない。」
「...そっか。」
女はそれだけ言うと直ぐ作業に取り掛かった。
そこからの事はあまり覚えてない。
機械化した左半身の違和感をなくすために毎日キツイリハビリに励み、あの日こういう事をしたなんてもう記憶にないくらい
がむしゃらに、ひたすらに、失った時間を取り戻すために。

10年後

「...よし。メンテナンス終わり。もう動いていいよ。」
「ありがと。じゃ、仕事行ってくるわ」
左半身の定期メンテナンスを終えて俺は直ぐに冒険者ギルドに向かった。
近頃は何かと難しい依頼が多い。やれ軍が一個小隊連れて倒しに行くようなドラゴンを倒せだとか、
村1つ潰した化け蜘蛛を倒せとか。誰が出来るんだこんな依頼。
「...なぁ、聞いたか」
「あぁ、邪神教とかいうやつだろ？あんなのおとぎ話だってのに...」
"邪神教"。その言葉を聞いたときに右半身の血が沸騰するような感覚になった。
「その話、詳しく聞かせろ」
「なんだよお前いきなり」
「その邪神教ってのはどこにあんだよ」
「お、俺も聞いた話だから詳しいことはわからねぇよ...ここからずっと東の街で邪神教ってやつらが悪さしてるって聞いたんだ、それ以上は知らねぇ」
「そうか...わかった、邪魔して悪かった。じゃあな。」
そう言って酒代を置いてギルドを出て家に戻った。


「邪神教ねぇ...噂は聞くけどホントに君の両親を殺した団体とは別かもしれないんだよ？それでも行くのかい？」
「嘘だろうが本当だろうが確かめる必要がある。もしかしたら俺みたいにあの時の生き残りが居るかもしれない。」
「随分な復讐心だよ全く...でもこれだけは約束してくれよ」
「必ず生きて帰ってくること。目的を果たそうが果たすまいが知らないが、死んだら元も子もないんだ...」
「わかってるよ...レコア姉さん」
「うん。行っといで」
復讐を始めよう。あの日殺された父と母の無念を晴らす。教団を根絶やしにするためにはなんだってやってやる。
怒りと憎しみを込めた深くどす黒い感情を抱いて俺は歩を進めた。

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