容姿・経歴・その他メモ

シンシアの過去について
"失血姫"　シンシア 17歳　女性

☆重要なこと
①シンシアは数多い兄弟姉妹のうちの一人。本来はルーデンベルク家の当主になるはずのない人物だった。
②彼女の従者の一人に人間の少女がおり、彼女が最後にシンシアにした願いは「幸せになってほしい」
③シンシアの父は人間を眷属とみた。彼女は隣人と見た。そのどちらも幼少期の経験。

※以下読まなくていいです

　シンシアは我儘な吸血鬼の娘だった。まだ戦争が起こっていないころ、従者たちに我儘を言っては人間の住む世界に度々訪れていた。父や皆は人間は恐ろしく狡猾で残忍な妖魔達の敵だと言うが、彼女の眼にはそうは映らなかった。そして彼女は父がそうしたように一人の人間の孤児を拾う。名前は自分の従者にふさわしいように「クロノワール」と名付けた。シンシアは彼女を妹のように、親友のように扱った。しかし表ではきちんと主従関係に見えるように、クロにも協力をしてもらった。
　いつしか、人間と妖魔の戦争が始まった。どうやら神の主権争いだそうだが、どこかシンシアは他人事のように感じた。なぜなら自分には戦う力などほとんどなければ、父や優秀な兄姉もいた。それでもシンシアはこの戦争に違和感を感じずにはいられなかった。皆が人の死を誇るのだった。家族の死に涙を流しているのは自分だけだと知り、自分は異常なのだと思わざるを得なかった。
　父や兄姉が死んだ。大規模な作戦の前線だったからとか、詳しい話は知らない。あんなにも多くいた兄姉も、あんなに強かった父も、戦争が始まってすぐに死んだ。当然、期待の眼は、父の背負っていた重責は幼い少女の肩に背負わされることになった。いや、背負わなければならなかった。自分が立ち上がらなければ、内部ですべてが終わる。人間に滅ぼされるよりもずっと早く。だから、自分の思い出と記憶の中の強い吸血鬼を演じた。怖いとか、嫌だとか、絶望に打ちひしがれる彼らを見て、言えるわけがなかった。
　数年は父の背中を追い続けた。何度人間を殺したかわからない。何度下克上を狙った妖魔に殺されかけたかわからない。何度クロの胸の中で泣きじゃくっただろう。この回数も忘れてしまった。しかし、この経験は確実にシンシアの心をむしばんでいった。
　ある途端、全てが馬鹿馬鹿しくなってしまった。互いに恨みあう必要もないのに殺しあう人間も妖魔も。それを強要する神にも腹が立った。そして何より、皆戦いたくなかった、死にたくなかった、それを知ってしまった。クロは自分についてきてくれると約束してくれた。だから、シンシアは周りの皆を守ることを誓った。愚かな人々の戦いはもうごめんだと、周囲に言い放った。
　しばらくたった時、意外と終わりは早く来るのだと実感した。人間側の英雄には蹂躙され、妖魔軍ももはや敵になったと思えば、今度は天変地異、それでも殺しあう人々。瞬きをするたびに隣の人は息絶えていく。そうして、それはクロも例外でなかった。シンシアは死に行く人間の少女に問うた。「今まで仕えた褒美に願いを言え。何を殺そう。お前を捨てた人間か、お前を迫害した妖魔か魔族か。それともこんなくだらない戦いをした神々か。」彼女は答えた。幸せに生きていてほしいと、笑っていてほしいと。
　誰もいなくなった。皮肉にも、生き残ったのは勇ましく戦った人々ではなく、力もない戦いにおびえ逃げ続けた小娘一人だった。今でも戦いはどこかで起こっている世界で、幸せに生きる、そして忘れてしまった笑顔を取り戻す方法を彼女は考えた。しばらく考え続けた結果、彼女は持てる力全てを使って、城の地下に結界をはって眠りについた。いつか、人々が笑いあって暮らせる世界になりますように。もう自分では何もできないから、未来でそうあってほしいと運命に身をゆだねることにした。もしかしたら、二度と目覚めることはないかもしれない。そうなれば、クロにもう一度会えるのかなと、淡い期待を抱いて。
　もう一度目覚めたとき、世界は一変していた。どうやら戦争は人間の勝利で終結したらしい。妖魔の力は失っていたらしいが、不思議な均衡で世界は存続し続けていた。それでも、世界の危機は訪れるようで。今のシンシアは誰かに後ろを押されているように感じている。きっと、彼女が隣にいたなら、彼らを見捨てることはしないだろう。それにそう、家族を失うのはつらいことだって、シンシア自身よく知っているからだ。

☆二つ名について
彼女の本当の二つ名は"失血姫"由来は吸血することもなく、血の誇りも失ったなりそこないという意味。つまり蔑称。
しかし彼女はこの名を少し気に入っている（無論表立って使う気はないが）。血を吸わないことは共存の決意。血の誇りは、自らが望んで捨てたものだからだ。どの立場にも立たず、誰かを守るためにぴったりだと、彼女は思っている。

☆年齢のぶれ
彼女は自分の年齢を15歳だと思っている。
しかし、戦時中にいつしか自分の年齢を数えることをやめてしまったため、かつての幸せだった年齢を自分の年齢だったと自称しているに過ぎない。吸血鬼にとって、年齢など人間ほど大きな問題ではないからだ。

☆クロノワールの由来
黒とノワール（黒）。つまりどちらも黒という意味。シンシア自体よくわかってないけど格好いいからつけた。
クロは後程気づいたので、愛称の"クロ"が実質的な名前となる。

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