容姿・経歴・その他メモ

　かつて、少女は傭兵をしていた。
彼女は弓の才能に恵まれ、一党からも頼りにされていた射手だった。
　狙った的は外さない。撃った後の居場所を悟らせない。その能力だけでどんな戦いも勝利に導いた。

　だが、それでも彼女は二回だけ的を外してしまったことがある。
　一度目は妖魔の軍団との戦に駆り出されたとき。
敵将への狙撃は寸分違わず心臓目掛けて飛んで行ったが、ありえない反射速度で躱され、そのまま傭兵団は全員捕虜の身となる。
　二度目は虜囚の身での妖魔たちのとの賭けにて。
ここからあの的に当てれたら貴様らを全員解放してやろう。失敗したなら全員殺すがな。
その言葉と共に渡されたのは、まともに飛ばせるかも怪しいボロボロの弓と矢。的は仲良くしていた団員の少年の頭上に掲げられていた。
　そして放った矢は、彼の眼窩を貫いてしまった。

何故。こんなときに限って狙いを外したのか。
下卑た笑い声を上げる妖魔たちに囲まれたまま自問自答に沈み、そして少女は命を絶たれた。

　次の瞬間、名も知らない国の、聞いたこともない荒野の中で彼女は目を覚ます。
言葉は不思議と通じるが、耳にする固有名詞すべてに全く聞き覚えがない。
　何故。あんなときに限って狙いを外したのか。何故、未知の世界で再びアンデッドとして蘇ったのか。
何もかもがわからないまま、それでも弓を握る以外に得意はない少女は冒険者として矢を放つ。

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