容姿・経歴・その他メモ

経歴不詳の少女。
その姿は時に透け、揺らぎ。確固たる肉体を持たない。
しかし確かにそこに少女は存在している。声を発し、自我を持ち、意思を示す。

なぜ自分はここにいるのか、少女は覚えていない。
この世界は自らが元いた世界ではない。しかし「招かれた」ということは覚えている。
そして「招かれた」ということは、自分には何か為すべきことがあるということ。
少女は、己が命題を探すことにした。

ここに、彼女の相方とも呼べる存在はいない。繋がりも感じない。
あるのは心の中の思い出だけ。
しかし、この世界で彼女は実体を得た。世界に触れることができた、できてしまった。
色鮮やかな記憶が、脳裏を満たしていく。そのこと自体はとても心地よく。
しかし同時に、これまで抱いていた心の中の思い出が、風化しつつあることに気づくのに、そう長い時間はかからなかった。
その思い出を忘れぬようにと、心に強く、強く刻み付けなければならなかった。
それゆえに彼女は自らのことを「マンハッタンカフェ」と名乗り。「マンハッタンカフェ」になろうとしたのだ。

自らの記憶に縛られ、焦っていた彼女は、危機感を欠落していた。
この世には悪人がいて、隙を見せた善人を食い物にするのだということを失念していた。
道中に善良を装った商人に騙され、身包みを剥がされ。
奴隷として彼女はエリンディル大陸へとたどりついたのだ。
幸い、隙を見て逃げ出すことには成功したが、すべてを喪い、一からの再スタート。
人を信じることをしなくなった彼女が、人と組むことはなくなった。
一人で戦えるように、生き残れるようにと技術を積み。

そして。
その日、彼女は出会ったのだ。
グランフェルデンで行われる祭りの日。
そこから始まる物語は、彼女に何をもたらすのか。
彼女は愉し気に、眼下の彼らを見落としている。その瞳に好奇の色を宿らせて。

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