私が冒険者になる前のお話でございます。いつものように川に架かる橋の上でのんびりと釣りを楽しんでいましたところ、遠くの方からドドドドという馬の足音とともに、それに乗った人の集団が二つ、こちらに駆けてきたのでございます。手前は少数、おそらく盗賊でしょうか薄汚い格好をしていまして、奥はそこそこいました、こちらは騎士団でしょう、非常に磨かれた鎧を着ておりました。

　さて、そんなことをされましたので、当たり前でございますが、魚は逃げてしまいました。少し腹が立ってしまった私は、馬を水の槍で貫きました。その時馬は倒れましたが、盗賊の首領も驚いてしまったのか、手に持っていたものを放してしまいました。そして何の因果か、それは私の頭の上に落ちてきまして、ぴったりはまったのです。

　後ろの騎士団もそれを見ていたのでしょう、そうそう、騎士団の戦闘には非常に目立つ鎧を着ていた男性がいらっしゃいまして、あとに知ったのは、パリス同盟１国の王子様だそうで、その方が多くの指示をされていらっしゃいましたが、まず盗賊を捕まえるよう周りの騎士たちに言いつけ、非常に訓練されていらっしゃったのでしょう、とても機敏に取り掛かりました。

　そのあと馬から降りたその方は、私の方に歩いてこられました。そのころの私は、サークレットに非常に驚いていました。頭にかぶさったこのサークレットにより、精神が上昇し、より多く魔法が撃てるようになっていました。そしてこうも思いました。これは非常に価値があるものではないかと。そして、外そうとしましたか、外れないことにも気づきました。

　さて、その方が何を仰るのか、場合によっては・・・と考え、様子をうかがっていると、以外にも動揺と諦観が見られました。そして、今回私が倒したのが現在この周辺国で治安を乱す大悪党で、その感謝のしるしに来てもらい、いくつかのものを授けたいと仰っていました。その中に、今回私が被ったそのサークレットも含まれているとも。

　そんな様子を見た私は、この条件を飲み、城に向かうことにしました。道すがら王子様がおっしゃるには、このサークレットはその家に代々伝わるもので、幸運を呼び寄せ、魔術をさらに多く放つことができ、使い手とともに成長するが、呪いがかかっており、一度つけると外せないそうです。さらに、予言で所有するにふさわしい相手を選ぶともいわれているようでした。

・・・私がその人であると仰っておりました。

さらに、城に着くと、領地の治安を担当する方にお会いしました。その時報奨としていくばくかの賞金と、このサークレットを頂けることを改めて伝えていただきました。ただ、できれば良いことに使ってほしいそうです。

いいものを頂きましたし、私も冒険者になってみましょうか。