アルディオン大陸東方の王族の子として生まれ、ファフネイアという名の２つ上の姉がいる。
　周辺諸国は魔族・妖魔を共通の脅威と認識しつつも国家間の小競り合いが長年続き、王国は強大な軍事力で“竜に護られし国”と恐れられ抑止力を誇示していた。
　誕生当初は久々の男児として祝福されたものの、ドラゴネットとしての竜の特徴。膂力や魔術の才が顕れなかったため、国王および軍務宰相派から失望を買い、冷遇の対象となる。
　一方、放任された幼少期は旺盛な好奇心を育む契機となった。城下を自由に歩き回り、兵舎の見習いから市場の職人、教会の司祭に至るまで分け隔てなく言葉を交わすなかで、書物だけでは得られない多様な知識と人心への洞察、さらには異国の知識や各地の伝承に触れる機会を得る。

　これ、まじでどうやって向き合おうな。王女に対する感情も決めかねてる

　ファフネイアが国外追放となった後、国王は渋々ながら王子を第一継承者として教育する方針を固め、国の象徴にふさわしい「武人としての強さ」を求めた。
　王国で主流とされる兵科は、ファフネイアが修めていた格闘術や両手剣術、斧術など――ドラゴネットの鱗と膂力を活かす武術が中心であり、もとより軍部から疎まれていた王子は、あらゆる教官から門前払いを受ける。
　それでも強さを諦めず、異国の剣士に師事して、鱗や鎧の隙間を突く細剣術を習得。建国祭で開かれた闘技大会では、その剣で当時の軍団長を打ち破り優勝を果たす。
　しかし国王はその勝利を「弱者の剣」と一蹴し、王子は深い絶望に沈むこととなった。

　建国祭の夜、アンスロックの未来視が発現した。夢に映ったのは、血を流し倒れる国王と、その傍らに立つはずのない追放王女ファフネイアの姿。翌朝、大臣会議に凶兆を訴えたものの、軍務宰相派に「荒唐無稽」と握り潰される。王子は王国の破滅を防ぐには、幻視の現場にいたファフネイアを探し出すほかないと悟ったのだった。
　その後、なんか国の主教団（セフィロスとその分派）と一緒に、旅に出る。