前髪ぱっつん黒髪ロングの少女。自負するだけあって顔は良い。
師匠と同じ東方風の衣装を好み、創造する刀も師匠のものと似ている。

中二病を絶賛煩い中。自信家な性格。自分は特別な存在なのだと信じて疑わない。
その根っこにあるのは、人一倍ある純粋さである。
自信が損なわれるようなことがあると、すぐに拗ねる。最悪泣く。

子どもの頃のヨルは、純粋な本好きの少女だった。
ある日、母親と一緒に本屋に行ったヨルは、そこの店主(後の師匠)がアーシアンの元冒険者だと知る。
本の中でも冒険譚が好きだったヨルは、その店主から冒険譚を聞くため、本屋に頻繁に通うようになった。

店主の方も、熱心に自分の話を聞きにくるヨルを面白がり、自分の元居た世界の小説をもとに様々な物語を聞かせた。
異界にも月の神様がいること。神様に認められた人間は"月姫"と呼ばれる特別な存在になること。
そのほとんどは作り話であったが、目を輝かせて自分の話を聞くヨルに、店主は冗談のつもりでこのように告げた。

『私はもう冒険者を引退した。』
『だから、神より与えられし力と"カグヤ"の名をキミに譲り渡そう。』
『今日からキミが2代目"月姫"となるんだ。』

それを聞いたヨルは、心の底から嬉しそうに笑っていた。
その日から店主とヨルの師弟関係が始まったのである。
ここだけを見れば、夢見がちな子どもの微笑ましい思い出だったのかもしれない。
だが、この時の店主はヨルの純粋さを甘く見ていた――

――そして、数年後。
ヨルは東方風の衣装を身に纏い、店主から教わった刀を携え、見事に冒険者となっていた。

「ボクの名はカグヤ。異界の神である月神に愛されし月姫だよ。」
「ぽけーっとしてどうしたんだい？…あぁ、分かった。ボクの美しさに見惚れてしまったんだね。」
「うんうん、それは仕方ない。夜空に綺麗な月が浮かんでいたら、誰でも目を奪われてしまうものだからね。」

店主は頭を抱えた。あぁ、どうしてこうなった。

・刀の名は『月極』。師匠にどんな名前がいいか相談したらこれになった。当然由来は月極駐車場である。ヨルはそれを知らない。
・刀を抜くときは『月光よ、闇を照らせ』って言う。毎回言う。絶対言う。あまりにもダサすぎる。