名前：ハード

自身が周りとは少し違う、「エクスマキナ」だということは小さいころにすぐに分かった。
何せただ頑丈なだけじゃなく血の色まで違うんだ、親に聞いて、実の子ではないということを知らされた。
そりゃ小さいころはショックだったが、注いでくれた愛に違いはなかったし、彼らの生き様は立派だった。
俺の数少ない誇りの一つだ。

っと、話を戻そう。
まぁそんなわけで自分の出自をぼんやりと捉えていたが、親の背中が大きくてな、追いたくなった。
追いかけて、並んで、追い抜いて。追い抜いたはずなのにあの日見た大きな背中がどうしても捉えきれなくて、
気づけば闘技場からは出て、方々で力試しや傭兵紛いの事をしていたよ。
あぁ、親は俺が闘技場を出る前に寿命でポックリだ。勘違いはすんなよ。
話が逸れるな。すまん。
で、そんな生活を続けていたら、いつだったかに、神だって奴から「試練を超えよ、其方にはその使命がある。」とかなんとか言われて、次の瞬間気づいたら戦場の真っただ中だ。
最初は面食らったが、そこでも結局やれることは戦うことだけだ。

戦って、戦って、戦い抜いた。痛くはあったが、苦ではなかった。
俺一人の力じゃあないが、戦いは泥沼になり停戦。
その時の仲間からは英雄だなんだと持て囃されたが、また例の神を名乗る奴に「よくぞ乗り越えた、次の戦場はこっちだ」とか言われ、また別の戦場に飛ばされた。
そうしていつの間にやら気づいたら　ココ、アヴァロンで戦場待ちをしているって訳だ。

まだ答えを得たわけじゃない、死ぬその時まで戦い続けるのだろう、俺はバカだからな。
もし答えを得たら？そうだな...それならそれでまた戦い続けるんだと思うぜ。
戦いが俺の居場所だろうからな。

---"聖杯の導き"亭　での一幕より。