ヒューリンの女神の信仰者のいたって普通の神官
だが、裏はヒューリンのヘイトの邪神官である。
しかしこれも、表層に過ぎない。
彼女、いや、彼…もはや、そのような枠は必要ない。
重要なのは魂の在り方と、目的だ。

ある一族はレムレスがこうなる前より、有限の時間を脱却しようとあらゆる研究をした。だが、それは、命の冒涜だと弾圧、魔女裁判にかけられ、一族は滅んだ。だが、エミリーにのみ成功した魂の輪廻転生の魔術が作動し肉体を再度手に入れる。
その魂は何度も輪廻の時を越え、今に至るまで保ち続けている。
だが、実用段階でなかったこの術式の欠点は徐々に魂の在り方、つまり自身の記憶が肉体の記憶と混濁し、自我が壊れていくのだ。
だが、それで求めることはできない。
かの一族を滅ぼした魔術師達に報復を、主の導きによる制裁を下すまで、エミリーの旅は終わらない。

血が流そうが、生きてるうちに親しくなった友を殺そうが…
そう、全ては


「私たちが生きてたことを伝えるために…」

目の前に小さな女の子がいる。彼女は私のことを姉と言ってきかない。
虫唾が走る。私の妹はとうに死んだのだ。貴様らのような人間によって。
だが、魔法の扱いに長け、知識も豊富だ。みすみす利用しない手はない。
わたしは、罵詈雑言を抑え、彼女にガルシア・スティーブンと名を与え、共にヘイトの邪教徒としてふるまうことにした。
姉妹の契りと、簡易的だが彼女の身辺も把握し、脅せるようにしている。いざとなっても問題ないだろう。
これからだ、裁きを与える叛逆の旅は…。


ガルシアも物分かりがよく、見た目に反して悪戯好きなところあり、私の提案に二つ返事で引き受けてくれる。
いずれは、あの邪教徒共も清掃して、私達で友好的に活用しようと決めている。いずれにせよ、彼女はまだ使える。

ガルシアが、魅了の術の禁書を私に捧げた。彼女曰く、これは姉様が持つべきものだ、と。
彼女は優秀で工作、潜入、調査と問題なく何でもこなす。稀にみる人材だ。いっそこちら側に引き込みたい…

いや、私の一族がそんなことを許すわけがない。線引きは、きちんと。

学校生活が始まった、愉快なクラスメイトの中で私が学級委員となった。
悪くはない心地だ。最近、穏やかな気持ちになるのが多い。なぜだろうか…
子に人たちは、あいつらと違う…？いや、所詮は──。