容姿・経歴・その他メモ

　『交換条件』……それは、自ら死を望まないこと。
　現代地球で、自殺を望むほど心を病んでいた時、アタシはここへ招待された。
　あの時アタシを招待してくれたのは、アタシに優しい交換条件を持ちかけたのは、一体誰だったのかしら。
　……もう、思い出せないわ。

　『銃』……それは、現代地球から逃げた時の手段。
　平和を信じて使い続けた愛銃。
　その平和は最も愛した兄弟によって理不尽に崩された。アンドロイドの肉体に魂を閉じ込められ、唯一残った血の繋がったアンドロイド嫌いの兄は、アタシを他人と見なして見捨てた。
　愛銃は、そんなアタシが現実逃避をする、唯一にして最後の手段だった。

　『死亡体験』……もう、三回も経験したのね。
　殺された時が、一回目。アタシは理不尽にも、アンドロイドとして生まれ変わらされた。
　自ら死を望んだのが、二回目。自らの存在を否定され、自分自身が嫌いになった。
　ここに来た瞬間が、三回目。元の誰かが死ぬ直前に、アタシの魂を入れるって形で転生を果たした。
　女は度胸と愛嬌って、よく言うけれど……アタシは結局、ただの臆病者だった。
　だけど、せっかくチャンスをもらったんだもの。四度目の死なんてお断りよ。
　……あ、寿命死はノーカンね。不死になる気は更々無いわ。

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　現代地球においてアンドロイドとして生きていた男性。元は人間だったのだが、本人も詳しく理解していない何かしらの事件に巻き込まれた結果、魂や精神をアンドロイドに移植された。
　『双丸永時』も本名ではなくアンドロイド名、型番が008だったことに由来している。実際の本名については事件の影響で忘れてしまっている。

　そうして生きていた永時だが、人間時代の家族の中で唯一生き残りだった実の兄弟が事件の影響でアンドロイドにトラウマを持ってしまっており、その兄弟に拒絶される。
　結果、兄弟は自殺し、精神を病んだ永時も立ち直る事が出来ずに遅れて自殺する。

　それでも、本当は生きていたかった。
　守るべきものを見つけ、信じるべきものを見つけ……人としてあるべき幸せを見つけたかった。
　その願いは、世界を超えて届くことになる。
　『自ら死を望まないこと』。そんな、相手にとって得の無い交換条件を元に、優しく手を差し伸べた誰かが居た。

　気づけば、見知らぬ大地で永時は倒れていた。
　その場で亡くなった、永時に瓜二つのヒューリンの肉体を受け継ぐ形で転生を果たした。
　……とはいえ、肉体は死にかけ。そのままでは自分も死んでしまう。
　そこにやってきたのが、今の恩人だ。自分をここに連れてきたのは理不尽な存在などではなく、助けが間に合うことを知っていて永時を転生させる程度の優しさは持ちわせていたのだ。

　なぜ赤子からの転生でないのか、なぜもっと平和的な転生ではなかったのか。それは今となっては誰にも分からない。
　しかし、これが最も都合が良かったのだと信じ、永時は新たな人生を歩み出す決意を固めたのだった。

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