「ああ！やっと生まれてくれたのね。この子はきっと誰かの未来を照らす炎になるわ」
「ああ。いいか、○○○○。我々、お前の親から、お前に使命を与える。
大切なものを見つけなさい。そしてそのために尽くしなさい。
強くなりなさい。いいね、もし、どうしても力が欲しいときは心を込めて、自分の名前を唱えなさい。
○○○○と。」
「叔父殿!敵がもう近くまで来ています！！」
「わかった！！すぐにむか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「おおっと！！決まったーーー！！！！竜の子供ダウン！！所詮はまだ子供だったかぁぁーーーー！！！」


「おい、肉刺。生きているか。」
「うん。大丈夫だよ。ドロじい」
傷だらけの体を起こす。全身の傷が喚き散らすが、別にもう慣れたので問題はない。
「ほら、傷を見せろ。治療してやる。」
そう言って、傷薬とポーションを使う。
「それ、どこにあったの？」
「落ちてた」
また、盗んできたのか。と肉刺は思う。
奴隷のような自分たちにわざわざ薬を支給するとは思わないし、そんなものが落ちているとも思えない。
それくらい、教育を受けていない自分でもわかる。
ドロじいはいつも自分が闘技場で戦いに行く度にこうやって薬を盗んでくる。
「強くなりたい」
「はぁ、肉刺。またそれか」
「うん。強くならないと。」
強くならないと・・・えっと、なんだっけ。
「いいか、肉刺。お前は13歳にしてはもう十分強い。」
「いいよ。そういうのは。そんなことより、また話してよ。外の話。
あれがいいな。ボウケンシャの話。」
「しょうがねぇなぁ。それじゃあ・・・」
ドロじいの話を聞く。
この瞬間が一番好きだ。
この時間が自分にとって大切な時。
そうだ。だから僕は強くならないといけないんだ。この人のために。ドロじいの障害になるものは全部潰す。
それが僕にできる唯一のことだから。
「というわけで、お前も外に出たら、仲間を探せ。そしてそいつらを大切にするんだな」
「そんなものはいらないよ。僕にはドロじいがいる。それで十分でしょ。
それに外になんて出れるの？」
「出れるさ。もうすぐな」

「肉刺！火事だ！早く逃げるぞ！！」
そう言ってドロじいは腕を引っ張る。
やけにべとべとしていた。
「逃げる？どこに？」
「外だ！！」
そしてドロじいは変な部屋に入る。
そこには武器や、道具がたくさんあった。
「よし、なんでもいいから。早く装備しろ！恐らく、外に警備が待ち構えているからな！
装備があれば、肉刺ならそのまま扉を破壊できるな！？」
「わかった。」
そうして、階段を駆け上がる。
ドロじいの障害になるものは全て破壊する。
やっと僕はこの人のために！
そして外に出た。
しかしその瞬間ドロじいは絶句した。
「噓だろ。こんなに待ち構えているのかよ...」
外には十人以上の人間が武器を構えていた。
「いいか、肉刺。俺を無視してお前は真っ直ぐ走れ。お前は絶対に外に出て、自由になるんだ。」
「ダメだよ、ドロじい。だってドロじいは僕のことを助けてくれた。だから僕の命はドロじいのために尽くさないといけないんだ。」
「勝てるわけないだろ。二人でも無理だ。だから！」
そんなことはわかっている。
もっと力が欲しい。
そうだ。そんな時どうすればいいんだっけ。僕は知っている。
どうしても力が欲しいときは・・・・
「アグニオ..」


「ドロじい！ダメだ。ここで終わっちゃいけない。」
燃え盛る炎の中、ドロじいを抱える。
「いいんだ。肉刺。お前は外に出ろ。そしていろんな人に出会うんだ。そして大切な人を見つけんだ。
そしてお前は、自分のために、誰かを、自分の意志で生きるんだ。」
ドロじいの言葉が頭の中で響く。
自分のために、誰かを、自分の意志で生きる
そうかそれが、僕の使命だ。
ドロじいの使命が僕の中で生きている。

本名はアグニオ・フレイ・オーガス。
身長は143cmくらい。
プリーチャーとしての使命を持つ、ドラゴネットの父：レパータルと母：アンスロックの間に生まれた子供。
外見は完全に母の血を継いでいるが、ドラゴンとしての力を使うと父のような角や腕が竜のようになる。
彼女が生まれた時に両親は襲撃に会い、死亡。竜の子供は貴重ということでアグニオは売られることになる。
売られた先では奴隷のような生活をし、名前も肉刺という名前に変えられ、剣闘士として戦うこと以外教わらなかった。もちろん教育などは受けていない。
しかし、そんな彼女にも親代わりになってくれる人物がいた。ドロじいは肉刺に外の世界のことを教えてくれた。
そのおかげか、簡単な足し算、引き算。文字の読み方（書くことはできない）。お金に関することなど、最低限の一般的常識を学ぶことはできた。
そして屋敷に火が放たれた時、彼は初めて外に出た。しかし、外に待ち構えていた警備兵、十人以上と戦うこととなる。
記憶にないはずの父の言葉を唱え、竜としての力を解放するが、命を捨てても守りたかったドロじいを助けることは出来なかった。
また、肉刺自身も後遺症を負い、もう竜としての力は少ししか解放できなくなった。
その後、ドロじいの最期の言葉、
「自分のために、誰かを、自分の意志で生きる」
そして、竜となった時に思い出した父の言葉、「大切なものを見つけなさい。そしてそのために尽くしなさい。」という使命が
頭の中で反響する中、ボロだらけの体で何とか荷馬車の荷物の中に紛れ込む。
荷馬車は走る。どこに向かうのかはわからない。

普段は物静かで戦闘以外であまり表情を表に出さない。
何事も無関心なようにも見えるが、そんなことはなく、あまりいろんな感情というものに慣れていないだけ。
彼女なりに色々考えてはいる。
そうと決まれば一筋な性格をしており、
「大切な人のために尽くすこと。」「誰かのために生きること」を最早洗脳というレベルで彼女の中で刻まれている。
この考え方が揺らぐことはないだろう。
しかし、それは一見美しくはあるが、決して正しくはない。
彼女はなるべく殺しはしないが、大切な人の障害になるのであれば、いざとなれば命を奪うことに躊躇しない。(GMと要相談)
もちろん自分の命を懸けることもためらわない。
戦うことしか知らないためか、そういった面に関してはいかれてる。
決して戦闘狂というわけではないが、戦うことしか教えられず、碌な教育を学ばず、戦うことしかできない子供が生きる意味だけ見出してしまったのが、肉刺である。