容姿・経歴・その他メモ

　彼女は、彼女の産みの親によって神官の娘と入れ替えられた。いわゆる取り替え子だ。
　育ての両親は、彼女のことを実の娘のように愛してくれた。しかし時折両親が自分のことをぼーっと見つめながら悲しそうな、悔しそうな、辛そうな、そんな顔をするのを知っていた。また、時が経つにつれて、自分と両親の種族が違うこと、両親は決して養子縁組などしていないこと、両親はフォモールの子を育てていることを責められていること、両親が実の親でないことに、彼女自身が自ずと気づいていった。
　17歳になった時、彼女はエランド（神龍王セフィロスからの神託）を受け、アルディオン大陸東方のヴァンスター帝国へと旅立つこととなった。このことに両親は喜びと、安堵の表情を見せた。

　旅支度を終えて家を出るとき彼女は、両親との関係をきっぱり断ち切った。
「17年間、何の関係もない私を育ててくれてありがとうございました」
「もう私のことでつらい思いをしなくても大丈夫です」
「ご迷惑をおかけしました」
「ありがとう」
「さようなら」
　彼女はそう言い終えるとすぐ、家だった場所から走り去った。

　彼女がエリンディル大陸東方、ヴァンスター帝国への入国審査を受けた直後、一通の手紙と、ヴァンスター帝国騎士への斡旋を受けた。両親が所属している神殿からの推薦があったらしい。
　彼女はあまりヴァンスター帝国の国土になじむことができず、最初は苦労をしていた。それも間もなく、ヴァンスター帝国皇帝のゼダンと意気投合し、お互いを兄弟と呼ぶ間柄になる。
　しかし5年ほど前から徐々に、ゼダンから避けられるようになってしまった。
　ジギタリスは次第に街に出るようになり、冒険者のエピファニーと出会う。お互いに似た境遇であった彼女と親友と呼ぶ仲になるのはそう遅くはなかった。そうしてゼダンよりもエピファニーのことを優先することが増え始めた。
　そして1年前、ついに兄弟の口から左遷を命じられてしまう。
　堅物で融通が利かないが、仕事はそこそこにこなしてきていたつもりなので、そのことに疑問を持ちつつも、彼女はそのこともまた運命だと思い、「はい」と一言応えた。
　命令を受けたのはトルナーレという辺境の街だ。この地には仕事もなく、毎日が暇で、詰め所に顔を出さずに神殿に滞在することもままあった。そこでレイブという年若いヒューリンの冒険者と、その若者をパパと呼ぶまだ幼い少女カリナに出会う。
　やがて彼らと共に冒険者まがいの仕事をすることも増えていき、最近では神殿の特別顧問に認定された。
　トルナーレの街に来て1年、やっと彼女はこの地になじむことができたと感じている。尤も、自分に騎士の仕事がないことを除けば、だが。
　

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