ユズリハは邪神の加護を失ったオウガ、ドゥームガードの少女である。
金棒を振り回し前衛で戦いながら、東洋の神聖魔術を得意とする魔法戦士で、
リーフェンシュタール家次代当主、ジェイソン・リーフェンシュタールの忠実な臣下として仕えている。

邪神の元を離れた妖魔種族については、まだ世間での理解が深まっていない事もあり、
無駄なトラブルを避けるため、初対面の相手に対してはドゥアンの有角族であると誤魔化している。
実際に、オウガのもつ粗暴性は薄く人間よりおおざっぱな程度。
体格も小柄な彼女はドゥアンの有角族との違いはさほどでもないため、言われなければ怪しまれることはない。

彼女の先祖は、はるか昔人間の英雄に敗れたことで邪神に見捨てられ、その加護を失ったダイワのオウガである。
彼らは妖魔としての居場所はなく、人間達からも受け入れられず――山奥で彼らだけの集落をつくり、密かに暮らしていた。
彼らはダイワの人間達から"オニ"と呼ばれ、恐れられ、時には敬われ――民俗学にその名を残していた。
ユズリハの父親は、人間が好きな変わり者だった。
山に廃棄された書物を集めており――目を輝かせて、幼いユズリハはその話を聞いていた。
"人間"と友達になりたい。そのような好奇心が、自分の中に生まれる。
好奇心旺盛な彼女は、村の掟を破り――人間の里にこっそり抜け出してしまった。
それが大問題となり、人間と彼らの間で争いが起こり、集落を追われることとなった。

だが――これは運命の女神、アリアンロッドの気まぐれだろうか？
彼女は、危険に見舞われながらもいくつもの山を越え、谷を越え――
時には貨物船の積荷に隠れ、海を越え。長い旅の果て――エリンディル西方へたどり着いたのだった。
現在は、行く当てもない自分を拾ってくれたリーフェンシュタール家に用心棒として雇われている。

ダイワ式の表記は「春日楪（かすが　ゆずりは）」。