ドゥームガードの青年。オウガの集落に生まれ、部族内でも卓越した武芸の才を持ち、将来を嘱望されていた。だが、次期戦士長を決める決闘の前夜、対戦相手の派閥による闇討ちに遭う。返り討ちにはしたものの、その際に受けた傷が響き、決闘では敗北を喫した。戦士長になれなかったことよりも、卑劣な手段を正当化する部族の在り方に失望し、自ら頭の角を切り落として部族を離反。真の強さを求め、放浪の武者修行へと旅立った。

いかなる環境でも万全に戦える力。それを求め、選ばれた旅先は“無限の砂漠”だった。屈強な戦士として砂漠を越える体力に不足はなかったが、明確な目的の欠如が唯一の誤算となる。
あてもなく砂漠をさまよった末、ついには力尽き倒れる。死の淵から救い出したのは、砂漠に生きるシャーマンの部族だった。
九死に一生を得た先に待っていたのは、新たな道標。それは、かつて“沈黙の氷原”に暮らし、狂戦士と化すことで極限を生き延びた部族の伝承。その捨て身の境地こそが求めるものだと確信し、進路は迷わず北へと向けられた。

シャーマンには薬や酒を口にしないことで祖霊との間に強い結びつきを生み加護を得る“テンパランス”という教えがある。その教えに感銘を受け、戦いの際、みずから癒さないという誓いを立てた。それが加護によるものか、あるいはその行ないそのものが肉体を頑丈にしたのかは定かではないが、結果として、氷原に辿り着くころには如何なる病症も負わない身体を手にしていた。