容姿・経歴・その他メモ

　パリス同盟の国家群には含まれない小規模な集落。

　それはネルス川に寄り添うようにして作られている。

　人口はおよそ二百人程で、主に水耕農業をして糧を得ている。かつては放牧をしていたのだが、定住してからは農業をメインに据え、働いている。
　
　彼はそんな中、“水の街”クラン＝ベルに向けて装身具を制作する装飾屋の次男として産まれた。
　親の手伝いをすれば、僅かなりともお駄賃としてお金を与えられる為、率先して家業の手伝い等を行っていた。たまに行商人が訪れる時は、手に硬貨を握りしめ、陳列された商品をよく眺めたものである。

　あれやこれやと質問をし、よく鬱陶しがられたのもいい思い出だと記憶している。

　豊穣な大地と清涼な水に恵まれ、慎ましやかにも充実した毎日を送っている。純朴なフィルボル達の集落。


ーー全ては嘘まやかしである。


彼らは訪れた旅人を歓迎し、陥れ、身ぐるみを剥ぐ悪辣な集団であった。
【拷問】ララ家　【隠蔽】ムム家 【穴掘】ノノ家
【詐欺】トト家　 ……etc 等、各家事に役割が存在する。
彼はその中で【解体】の役割を持つロロ家に産まれた。
【解体】には斧を使うので、目下練習中である。

　分担された役割を担当出来るのは一家の長だけ。
「やりがいがある仕事だよ」と、爛漫に笑う父は全く苦にしていないようだった。

いつものようにひと仕事している最中。

突如村に怒号が聞こえた。
それは鎧を身に纏った冒険者達であった。
突如行方不明になる旅人を不審に思い、調査をしに来たのである。彼らは見事邪悪なフィルボル達の悪事を見ぬき、正義の鉄槌を下していた。

逃げ惑うフィルボル達。
しかし準備を万端にしていた冒険者たちにあっという間に制圧され、無惨にも処理されて行く同胞達。よく遊んでくれた【拷問】ララ家のおじさんも、近所の友達も、【解体】をしている父も数の暴力で、呆気なく散って行く。

彼は逃げて、逃げて、逃げた。

将来結婚を誓った婚約者の悲鳴も、

悪戯をしかけても笑って許す兄の断末魔も、

踏み潰されてボロ雑巾のようになった弟も見捨て、

生き延びる為に逃げた。

だが、無論見逃されるはずもなく、執拗に追い立てられる。そのうち足を滑らせ、ネルス川へと向けて落ちて行った。

冒険者たちは暫く眺めて居たが、浮き上がって来ないので死亡したと判断。そのまま残党の殲滅へと当たった。


しかしミミ・ロロは生きていた。
外へと打ち上げられ、たまたま救助された彼は記憶を部分的に失っていた。

故に、自分が誰なのか、家族が誰なのかを探し求める旅に出ることにした。

ただ、強くならなければ。
という、胸に湧き上がる衝動にも突き動かされて。

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